鏡リュウジ公式サイト BETWEEN THE WORLDS

上なるモノは下なるモノのごとく、下なるモノは上なるモノのごとく。



「オカルト」とは
そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研File No.43 『宇宙と芸術展』で星曼荼羅見てきました【3】
2016/10/12

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『宇宙と芸術展』で星曼荼羅見てきました【3】
  Juno×鏡リュウジ
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Juno
宇宙展にいっていろいろ見てこうやって、並べてみていくと、つい最近まで宇宙については何もわかっていなかったんですね。



ガリレオが偉かったのは、望遠鏡は既に発明されていたけど、望遠鏡を月に向けて見たのが初めてだったんだって。

それまでは航海のときとか、戦争のときとかに相手の陣地を見ていたりしただけだったんでしょうね。それが400年ぐらい前ですね。


Juno
僕たちは今、スマホの世界ばっかり見てますから、また時代は巡ってるのかな。ある見方をすると、スマホを通じてWEBという内的世界にも住んでいますよね。Googleを始めとするIT業界の人たちから、瞑想をマインドフルネスという言葉で最盛しているのも、WEB世界と内的世界に通じるものがあるのかもしれません。



実際に今の天文学者も、空じゃなくて、パソコンの画面を見てるわけですからね。アマチュア天文学者が活躍するのはそれが背景にあるらしいですよ、彼らは実際に空を見ている。だから新しい惑星とか発見している。でもプロはそんな時間はない。


Juno
日本の天文学が発達しなかったのは、先ほど鏡さんが言っていたように、古い暦に頼りすぎていたから?



ですね。中国の暦をずっと使い続けていて、江戸の改暦まで日本独自で作ることはしなかったようですし、グレゴリオ暦が入ってきたのは明治以降。鎖国していましたからね。


Juno
ガラパゴス化ゆえに天文学関連で独自に発達したことはあるんでしょうか。



それはわからないなあ。でも国立天文台 副台長の渡部潤一先生から伺った話では、日本は自然が豊かだから、というか豊かすぎて正確な暦を作る必要性がなかったということも


Juno
まずは農業のために正確な暦が必要ですけど、四季の変化が明確な分、必要なかったというわけですね。



星しかなかった砂漠とは違いますね。

そうだ、独自発達したのは、星の民俗ですね。フォークロアとしての星。各地でいろいろな名前がついてます。釣り針星とか、そういう呼び名で。特定の星が、ここで見えると、この季節とか、そういうふうに判断していたようです。そういうローカル天文学はあったようです。

いうなればフォークアストロノミー。野尻抱影先生の本がすごいのは、そういう民俗としての星の知識を拾集しているところでしょう。

コペルニクス、ガリレオ、ケプラーまでは彼らはみんな聖職者に近かったから、キリスト教の枠内で宇宙を理解しようとしていた。

神が「聖書」のほかにもうひとつ書いたのものが「自然」だった。「聖書」と同じように「自然」を観察することによって神に近づけると彼らは考えていたんです。

とくにケプラーに関していうと、彼はガチの占星術師でもあるんだけど、プラトン主義、ピタゴラス主義でもあって、宇宙は調和に満ちている、と考えた。若い頃に、惑星の軌道が互いに内接する正多面体にそってできていると着想した。これはピタゴラス、プラトン的ないかにも美しい神聖幾何学的な宇宙モデルです。

しかし、残念ながら、後年、今日展示されていた、「新天文学」というものを書いて、そのモデルを捨てることになった。そのときにティコ・ブラーエというデンマークの天文学者と共同研究して、実際の観測値と理論値をあわせていくと、どうも円じゃなくて楕円だというところにいきついた。

ケプラーの段階だと宇宙は魂に満ちていたんですよ。ケプラーは占星術に対して新しい理論を持ち込んだ。それはアスペクト理論。

それまでもあったんだけど、ざっくりでみんな30度倍数だったんです。ケプラーは72度のアスペクトとかを採用しはじめる。それは、12のサインとは関係なく、ホロスコープを整数で分割したときに美しいカタチが生まれるから星と星が響き合うという考えかたを導入して、それが現代のアスペクト理論に繋がります。

ある惑星とある惑星がアスペクトをとると必ず雨が降るから星の影響を考えないわけにはいかない、というふうにもいう。

地球はひとつのスピリットをもっているから、魂は理性をもっている、人間の理性というのは、自分たちが経験したことがないものを直観できる能力が理性なんだということで。

円でも三角形でも目に見えるものは正確な三角形でも円でもない。でも我々はそれを知っている。正確でない三角形をみても、三角形だと直観できる、それは三角形そのものが自分の中に内在してるからだ、と。それが神のカタチであり、イデアである、と。星が正確な角度で調和を持って響き合うときに私達も気づくのだ、と。

ニュートンまでいくと、重力という発想が生まれ、魂をぬきにした、機械としての宇宙というところに意識がいき、近代科学がはじまり、主観と客観がわかれていくわけです。


Juno
それが今に至るわけですね。主観と客観が完全に断絶し、世界を対象化できると考えるようになってこれが強大な成果を生み出してゆくようになる。



哲学的にはデカルトの二元論と結びつき、精神と物質の二元論が出来上がっていく。

量子力学の父のひとり、パウリという学者がいますが、ユングと一緒にシンクロニシティ理論を研究していました。原子の太陽系モデルをつくった ニールス ボーアという人がいますが、その原子のモデルが太陽系と似ているということで、感動的に受け入れられたわけだけれど、それだと説明できないことがたくさんあって、そこから量子力学に進んでいくわけです。

そのときに光が波でもあり同時に粒子でもある、という我々の直観ではわからない理論をハイデルベルクとか、パウリなんかが格闘したわけです。数式にはかけるけれど、通常の五感では容易には把握できないような構造をこの宇宙は持っている。そういうものが存在するかどうか。

もしかしたら、マンダラというのは、意識をノーマルモードから別の次元にひきあげる瞑想によってリアリテイを高次に把握したときの体験を、ギリギリ、感覚的な世界で表現したものかもしれません。

以前は、瞑想によってしかこのようなリアリティは把握できなかったわけですが、もしかしたらバーチャルリアリティの技術などを使って通常が数式によってしか直感できないような世界の相を素人でも容易にとらえることができるようになるんじゃないか、といったサイバーSFみたいな夢想も浮かんできます。

まあ、こんな話をすると80年代に流行したメディア論みたいで、ちょっとダサいかな……。


Juno
実際にスーパーコンピューターと、別の方向性で人間の脳をパラレルに繋いでスーパーコンピューティングしようという企画がありますね。

ブレインネットワークと言うのですけど、すでに猿では初歩的な実験に成功していて。CPUの解像度をいくらあげても、結局細かくなるだけで全体がわからないという流れがあるところを、人間の内観(インスピレーション)を繋ぐことで1つの全体を捉えよう(悟ろう)とする試みなのですが……。

でもそういうふうに、今回の展示もそういうSF的な夢想が広がるものでしたね。



夢想の翼も広がっていきますが、一方で僕が感動したのはニュートンの著書「プリンキピア」(自然哲学の数学的諸原理)がインスタレーションの入り口にさりげなく置いてあってりして、「おいおい、こんな大切な本をこんなさらっと置くんじゃないよーーもっとメインにおいて」なんて感じたりしていました。

展示自体がそれこそちょっとした宇宙のようで、あちこちに重要なピースの欠片が置かれていますから、それを発見していく楽しみもありそう。展覧会はまだしばらくやっていますから、ぜひ、みなさん、どうぞ。


(了)

ー 他コンテンツ紹介 ー

Juno プロフィール

メンズ占い師ユニットnot for sale.のリーダー。占い師を「問題解決者」と位置付け、従来の占い師の枠にとらわれない活動を展開。アニメやファッションイベントとコラボしたアジアでの占いツアーにより、経産省COOL JAPAN政策の支援コンテンツに占いが採択される。Technology×Spiritualityをテーマに、仲間たちと「宇宙ヤバイ研究会」を細々と展開している。最近は、ワインエキスパートや利酒師の資格を取得し、星とお酒のコードを読み解こうと奮闘中…。

http://not-for-sale.jp

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