鏡リュウジ公式サイト BETWEEN THE WORLDS

上なるモノは下なるモノのごとく、下なるモノは上なるモノのごとく。



「オカルト」とは
そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研 File No.8 占いファンの聖地・原書房に聞いてきた「他では言えない話」1
2012/3/28



ねえねえ、シュガーくん。もちろんだとは思うけど、神田の原書房さんって知ってるよね?


はい。神保町の占い専門の古書店でしょ。何度か行ったことはありますよ。東洋の占いに強い本屋さんだし、僕はそっちが専門て訳ではないので毎月毎週ってほどじゃないですが。


ぼくが上京したときにはすでに立派な風格あるお店で……。いろいろ僕も買わせていただいたんだよね。神保町にいくと、真っ先にのぞく店で。


じゃあ、鏡さん、当然、「なじみ」の客?


い、いや、そうでもなく……


だんだんわかってきましたよ。一緒に行きたいとか言いだすんでしょう?


そ、そうなんだな。雑誌の古書店特集などではよく紹介されているんだけど、そのわりにお店の成り立ちとか、掲載されているの見たことがないし。僕でもちょっと敷居が高いの。シュガー、つきあってくれないかな。


もう、そうやってまたお店とお近づきになろうとしているでしょ。まあ、仕方がないなあ。取材させていただきますか! 連絡いれますよ。

こんな流れで、今回の取材となりました。

●そもそもどうして占い専門?

 


ずーっと昔からお邪魔させていただいてますし、メディアの神保町の特集なんかでもよく拝見させてもらうことがあるんですが、あんまり内側のことまで紹介されてないなと感じてまして、僕自身も成り立ちについては詳しく知らないので、今日はぜひ色々とお伺いできればと思います。


僕も日は浅いですが、何度か通わせていただいてます。よろしくお願いします。

原書房の番頭さん
はい、どうもありがとうございます。


創業は昭和3年(1928)だそうですね。ぜんぜん戦前ですね?

原書房の番頭さん
ですね。ここぜーんぶ長屋でしたよ。写真なんか見せてもらうと、それでもその頃にはもう書店街でしたね。それこそ当時から大学がこっち多かったから。


明治、日大、法政、専修、共立女子大、歩いていける範囲にたくさんありますもんね。昔は中央大もあったとか。他に専門学校とか医大を含めればもっとですね。


なるほど。そういう学生街みたいなところから、どんどん発展していった訳ですか。

原書房の番頭さん
発展て意味じゃ大正期がいちばん凄かったんじゃないですかね。九段下の方も全部そうだったし、露店の本屋さんがいーっぱいあって、夜の10時まで店開けてたらしいですよ。


はぁー!そうなんですか。夜の10時まで! うらやましい。


ちょっと今からじゃ想像がつきにくいけど、毎年秋にやってる神田古本まつりなんかの雰囲気に近いのかな。ちなみに現在は1階が易や各種運命学などの広い意味での占い関連、2階は浮世絵と版画のギャラリーにそれぞれ特化されてますけど、これはお店を始められた当初からそうだったんでしょうか? 特に占いの方は……。

原書房の番頭さん
最初はそれこそ”何でも屋さん”でしたよ。次第に置いてた易の本が売れるようになって、売れるんだったらもっと置こうと。それでうちは易と、それから最初からやっていた漢文でやっていこうって形にだんだんなっていったの。


それは具体的にはいつ頃の話なんですか?

原書房の番頭さん
昭和30年代くらいからかな。40年代にはうちも全部そうしちゃったから。それがもう50年くらい前になるんじゃないですか。神保町も戦後から、だんだん書店が各自の専門に特化していったんですよ。


売れ筋だったという以外にも、きっかけや原因みたいなものはあったんですか? 占いとか運命学の専門の本屋さんというのは、それまでなかった訳ですよね。

原書房の番頭さん
えーとね、戦後すぐくらいはね、何軒かあったんらしいですよ。でも、長くは続かなかったようですね。ポルノを中心に扱うような店になったりね。


へえー。そういう文化があったんですね。ところで、原書房さん自身が占い関係の古書を扱われるきっかけになったことというのはあるんですか?

原書房の番頭さん
どうなんでしょう。私は話しか聞いてませんけど、四柱推命の阿部泰山先生のお弟子さんがすぐ近くで教室をやってたんですよ。あと気学の大家・中村文聰先生や、お弟子さん方、昭和の易聖・加藤大岳先生もお近くにいらして。あと田口二州先生もしょっちゅういらしてたかな。加藤大岳先生や中村文聰先生のお弟子さんの教室なんかも、先々代が人集めて神保町の町会事務所でやってたとか。


そうそうたる顔ぶれですね。やっぱりこの近辺の占い好きだったり、マニアックと言ったらなんですけど、そういう方が集まる場所だった、ということも特化したきっかけとしてあったんでしょうか。


まさに「文京」区。占いだけではなくて、きっとそういういろんなサロン的な場所がこの界隈にはあったんでしょうね。易者さんというのは、アカデミズムの外にいたとしても漢文になじんでいたり、教養ある人が多かったはずですし。いろんな文化の交差点としての神田があったんだろうなあ。

原書房の番頭さん
ええ。でも西洋の占星術の古い本は、あまり扱っていないですかね。


ウソばっかり。うちにある貴布根康吉さんの占星術の本はこちらで買わせていただいたんですよ。昭和41年の私家版。知る人ぞ知る占星術の草分けでしょう?
あと、『西洋運命書』。日本で最初期に付録にタロットを付けた本。これはもっと古くて昭和初期。これも原書房さんで入手しました。うちの本棚にある、和書の「お宝」はほとんどここで買わせていただいたものですよ。

原書房の番頭さん
まあ、自分が知ってるのは二代目の潮島さんですね。よくいらしてましたから。訪星珠さんも、色々と親しくさせて頂きましたよ。


やっぱり歴代の占い関係者とは、大体お近い感じなんですね。さすがです。


そうしたお付き合いの歴史が、原書房さんの歴史でもあり、醸しだしている雰囲気の源なんでしょうね。


(つづく。次回更新予定は4月2日です。)


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シュガー プロフィール

Sugar(シュガー)
1983年生まれ。サラリーマンを経て、占い師。現在、個人鑑定・講座・執筆活動中。
鏡リュウジとの最初の出会いは、「ユリイカ」に掲載されていたシュタイナー研究で著名な美学者・高橋巌氏へのインタビュー。この時に覚えた違和感が、占星術へハマるきっかけに。慶応大哲学科卒。男性占い師ユニットNOTFORSALEメンバー。

●特技はどこでもすぐ寝ること
●ソウルフードは中本の冷やし味噌ラーメン

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