鏡リュウジ公式サイト BETWEEN THE WORLDS

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「オカルト」とは
そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研 File No.1 「新月の願い」は効くのか? 2
2011/9/5

* 新月の願いって何?
新月のタイミングから数時間から数日以内に「〜がうまくいきますように」「〜になりたい」といった願いごとを10個紙に書き出すことで、願いごとが叶いやすくなるというもの。


3という数字が非常に面白いですね。グリム童話なんかも、3のシンボリズムがよく出てきます。たとえば王の後継者候補である3兄弟が、国を救うために旅へ出ていくと、結果的に国を救うのは優秀な兄たちではなく、馬鹿で愚かな末の弟というパターン。

この「愚者」たる末弟は、先ほどのニューエイジの区分で言えば老女ですし、地中の月にあたるんじゃないでしょうか。つまり、意識主体である地上の王にとって、地下世界にあって見えていないもの=無意識、潜在意識という図式を当てはめると、これも新月こそ自分(王国)を変えてくれるという意味で「新月の願い」の系譜にあたるのかも。


そうだね、そういう月をめぐる捉え方といわゆる「引き寄せの法則」なんかが一緒になったところで、「願いごと」が流行っていった感じがするね。例えば「アフォーメーション」。自分に対して肯定的な宣言をするっていう自己啓発的なテクニックだけど、これってさ、平たくいうと受験のときに「○○大合格!」って書いておくのと同じじゃない。僕が10代の頃なんて、願望達成マシーンなんてのがあったもん(笑)


僕は中学生のときにナポレオン・ヒルの本とか読みましたね。懐かしいな〜。


ああ、はやったね〜!ナポレオン・ヒルなんてもろ「ニューソート」じゃん。


そうですね、そういう意味では、僕も「新月の願い」に近いことは既にやってた訳か(笑)


でもそういう流れもふまえて、改めていまの「新月の願い」やスピリチュアルブームをを見渡すと、やっぱり伝統的な占星術世界やフォークロアとはなんか違うなあ。


どう違いますか?


これはもう言い古された感もあるけれど、例えば月を相手にした際に「スピリット(聖なるもの)」に対する畏れの感覚がないというか、単純に「自分の願望を受け入れてくれるもの」として捉えられているし、「あそこの神様は効く」っていう功利的な感覚でしょう?
それはそれでいいんだけど、しかも、それをパブリックな場で公然と口にすることに何の抵抗もなくなっているということに、どこか違和感があるわけ。

例えば、僕がイギリスで実際に聞いたことがある話では、「月は右肩ごしに振り返って見ると縁起がいいけれど、横向きに見るとよくない」なんてのがあったけどね。つまり、扱い方を間違えると怖いぞって感覚が新月の願いにせよ感じられないっていうのかな。


そういうことはこの辞典にも色々載っていますね。「新月の光をガラス越しにみるとよくない」とか、「月を指差すと不吉なことが起こる」といった記述とか。人々が、月に対してポジティブな想像力をふくらませてるだけではなく、死とか破滅とかネガティブな想像力もふくらませてきたことがよく分かります。

そういえば、鏡さんが以前出されていた『アニマの香り』という本の中沢新一さんとの対談の中で、占いの起源は月とおっしゃってましたよね。
中沢さんは、「哲学の原型は月」とも。あれは古代の人達が月齢を見て取る中で、変化やうつろいを意識し、ひいては「死」というものを想像したのだ、ということですね。


そうだね。そもそも月っていうと、ウチのおばあちゃんなんて人が死ぬのは引き潮のときなんて言っていたからね。それを聞いて僕はとにかく怖かった。

でもフォークフロア的にはまずそっちなんだよ。あと面白いのは、日本にはニューエイジは入ってくるんだけど、魔女文化は入ってこないんだよね。まあ、キリスト教とかフェミニズムが浸透しないからかなあ・・・。

魔女カルチャーとかネオ・ネイティブアメリカン的な考え方の人たちは、ダークムーンを重視している。これはさっき言った月のフェーズで分ける考え方すると、老女の部分なんだよね。
女性は若くなきゃいけないとかそういう文化じゃないところを重視しようという流れがあるのも興味深い。さっきのグリム童話じゃないけれど、暗い部分や見えない部分を畏れも含めて大事にしろ、と。


まさにそうですね。新月の願いなんてやってると当然、「叶いません、どうしたらいいんですか?」という問いが出てくる。そうなると、願望の実現を阻む執着や恐れを手放すことから始めましょう、といったことを言う人が必ず出てきます。

そこに至って初めて、ダークムーン的な「闇の感覚」を活かすというのと方向性があってきますよね。成功する!と書いても、まあほとんどが成功しない、叶わない。そうしていくと、だんだんと自分の願いごとと現実の間に隠れていたステップが見えてくるんですよ。
そうやって現実と折り合いとつけつつ、両者がすりあわせられていく。それを新月が媒介としているのはおもしろいと思います。光の部分だけでなく、ネガティブな面と向き合わざるを得なってきますから。


自分が子供の頃だったらいわゆる「おまじない少女」しかやらなかったことを大の大人がやってることが恥ずかしくないのかな、なんてつい思ったりもするけど、いまシュガー君が言ったようなネガティブな面と向き合わざるを得なくなるという面を考えると、自己探求のツールとしては求められていることなのかもしれないね。

ってことで、僕も「今後は酒を飲みすぎません!」 とか書いてみようかな(笑)


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シュガー プロフィール

Sugar(シュガー)
1983年生まれ。サラリーマンを経て、占い師。現在、個人鑑定・講座・執筆活動中。
鏡リュウジとの最初の出会いは、「ユリイカ」に掲載されていたシュタイナー研究で著名な美学者・高橋巌氏へのインタビュー。この時に覚えた違和感が、占星術へハマるきっかけに。慶応大哲学科卒。男性占い師ユニットNOTFORSALEメンバー。

●特技はどこでもすぐ寝ること
●ソウルフードは中本の冷やし味噌ラーメン

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