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「オカルト」とは
そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研 File No.13 12年に一度の幸運期「木星」の真実 1
2012/9/24



このところニュースを見ても景気の悪い話や暗い話ばっかり。せめてこのサイトでは何か明るい話と思って…。

今回のオカ研は、「木星」をじっくり取り上げてみたいと思います。木星といえば、星占い業界では、「12年に一回やってくる幸運期」が合言葉になってるよね。

ぼくもつい書いてしまうけれど、年度ごとの星占いの記事で「12年に1度の幸運期がやってきました!」と書いてあるのは、まず間違いなく木星が自分の星座(誕生星座、太陽星座)に巡ってきたタイミングのことですから。


伝統的に木星は大吉星(グレートベネフィック)といわれてきましたからね。ちょうど約12年が公転周期で、1星座に1年ぐらい滞在してくれるので、毎年どこかしらの星座にスポットライトが当たって、幸運期がやってくる!とフューチャーできる。


そう、ベネフィック。英語のbenefit(利益)と語源が同じ言葉で、木星が大吉星、金星がレッサー・ベネフィック、つまり小吉星とされています。

星占いライターにとっては嬉しい星(笑) 僕が若かりし頃は、ちょうど年の変わり目ぐらいに星座が変わっていたんですよ。

もちろん、変則的な時期もあったけど、80年代から90年代は12月とか1月に木星の星座が変わるタイミングだった。


最近でも2007年から2010年頃は木星の星座の変わり目は1月前後でしたね。


そう。それがだんだんずれてきて、最近では6月くらいに木星が占星術上の星座を切り替えるようになっていますね。


滞在しているのは1年ですものね、たまに短くなったりしますが。


正確にいうと、木星の公転周期、といっても、太陽の周囲をめぐる周期だけれど、それは11.861年くらい。

まあ、だいたい12年ということになるね。中国で「歳星」という呼び名もあるそうだけれど、これは12年で一周して干支の成立とかかわったという説も。

ところで、木星、実際の鑑定でも使ってる?
ぼくは実際の鑑定はしていないけど、シュガーくんは精力的に鑑定仕事もしてるから聞いてみたくて。


かなり使ってます。


実際のときにも「当たる感」ある?


かなり当たりますよ。もちろんそれだけではないですが、鑑定するときって、こういっては誤解があるかも知れませんが、当たるって思わせておく、ある種、そういう状態にひきこむ必要がある。そのために僕がいくつか使っている手法のひとつが木星ですね。そこから入ると、「おお!」みたいになることが多いです。


じゃあ、木星のトランジットを使うの? ぼくは土星のトランジットを一種、「飛び道具」といっているけど…。


飛び道具ですか。僕はトランジットと、オリジナルでバイオリズム図みたいなものを作ってその時々の社会的なテーマなんかを見てます。


木星のMC通過とか?


それもそうですし、あとは木星と太陽のサイクル。春夏秋冬のように見立てて、木星太陽の合やオポジションのタイミングなどを大きな変化の時期として捉えていきます。最近は更にそれにルーンを当てていったりとか。まあ、いろいろ試しながらですね。


ああ、サイクル的に使うわけだ。

有名な例でいうと、ペニシリンの発見者でノーベル賞受賞者のフレミングが「タイム」誌のカバーを飾ったのは出生の太陽に木星が乗ったとき。ジョン・レノンがアメリカにわたってその知名度が広がったのは、木星が太陽と180度になって、アセンダント通過のとき。


結婚や転職など、節目となるような出来事は木星でも出てきやすいですよね。


とはいえ、ピンポイントで木星のトランジットだけみていても、あまりピンとこないことも多いでしょう?

冒頭に言った、「12年に1回の幸運期」だけど、実際には僕、終わったときによく怒られることが多い、当たらなかったと(笑)


ありますね(笑)。
でも実際、「幸運期」の解釈ってムズカシイですよね。口開けてまってたら美味しいものが入ってくるみたいな、棚ぼた的な捉え方をされる人もいますけど、そんなふうに思って過ごしていたら、逆に幸運の方から逃げていくだろうって思いますし。そのへんの木星の本質について今日はお聞きしたいです。


石井ゆかりさんは「耕運期」といってますね。


そうですね。最近、それをそのままマネして言ってる占い師さん、多いです。


あ、それぼくのこといってる?(笑)
木星の本質的なことを一言でいうと、大吉星ではありますが、これはもう、「神」の星なんですよ。木星はジュピター、つまりギリシャ神話の神ゼウスなので。

とはいえ、それはある特定の宗教ではなくて…一種の健やかな哲学というのかな。ウイリアム・ジェイムズなら「健やかな宗教」とでも呼ぶような。

この世界に生きていたら良い事があるって思わせてくれる星だと思っている。この世界にはまだ良いことがあるとか、生きる意味に値するとか、そういうことね。

それを支えてくれるインテグレーションというか、意味の全体性を保証してくれる感じ。木星が太陽星座に入ってくるサイクルというのは、そういうものを感じる時なんじゃないかな、と。

古いところから見ていくと、17世紀の大占星術家ウイリアム・リリーは木星のキーワードの一つに「大きな幸運」のほかに「節度、謙虚さ、正気、正義の与え主」というキーワードも与えている。

それはつまり、木星が射手座のルーラー(支配星)であるということと関係があると思う。それから魚座の支配星でもある。

その星座の反対側は、双子座と乙女座で両方共、水星が支配してます。木星と水星がオポジションでそれがすごく好対照になっているイメージ。

水星はいってみれば合理的な知性を表す。もっと深いところにいくと目に見えない世界になるんだけど、基本的には役に立つとか、目先のスキルとか知恵とか。


実用主義的なことですね。器用な立ち回りを表す一方、裏を返せばそれでなんとかなる程度の問題というか、「想定内」ということかな。「運命的」というほどの偶然性の余地はない。


うん、水星はそういうところを表していて、反対側にいる木星はそういうのを越えた、役に立たないようなことも含めてこの世界のグランドビジョンを見せるみたいなそういう天体なんだなって思うな。

20世紀の現代占星術の父、アラン・レオは木星のニックネームをUplifter、つまり高揚するものといっている。これはThe Art of Synthesisという有名な本に載っているものね。

ちょっと脱線するけど、かのホルストは有名な組曲『惑星』を作曲するとき、イメージの源泉としてこの本を大いに使ったといわれています。

で、木星についての秘教的な記述もたくさんあるなかで、レオは木星は「高次の知性」(higher mind)、つまり単なる合理性ではなくさまざまなものを統合する知恵Wisdomだという。


想定範囲内・予定調和的成り行きとしてのhereから、未知との遭遇としてのthereへ跳躍すること、その結果、未知が規定された文脈を突き破って闖入してくること。こうした自己超越性を支えるものとしての木星=知恵といったところでしょうか。


昔、CPA(center for phycological astrology)でうけた最初の講義が木星で、木星は自由の星だと教えられたのね。みんなあんまり質問しなかったんだけど、「天王星も自由っていわれているけど何が違うんですか」って僕だけ質問したら、いい質問だと。

天王星はカゴとか自分を縛っているものを壊す星だけど、木星っていうのは、次の目標に向かっていく星だと。エーリッヒ・フロム的にいえば、「○○からの自由」ではなく「○○への自由」。


さっき、木星の合はある種の自己信頼性だったりとか、この世に生きていていいんだっていうこの世に対する楽観主義を呼び覚ましてくれるっておっしゃってましたが、これ、自分の体験で何かあります?


木星と太陽が魚座で合の時に占いにハマっていたような気がする。とくに僕は魚座が太陽で木星が9ハウスだから。でも何年なんだろう…?


直近では2010年9月から11年の11月までですね。


イギリスに頻繁にいくようになった頃かな。


その前は、1998年2月からです。


30歳のときか。そうそう、ユング派のなかでも「魂」を前面に押し出して、ユングを思想史のなかに位置づけようとしていたジェイムス・ヒルマンの訳書を出した年。


おーっぴったりですね!『魂のコード』。


河合隼雄先生から推薦文を頂いたし、これはどんぴしゃりな例かも。魂を扱った本で、僕は木星は9ハウスだし。


ぼくの場合は、大学に入学したときで…思い出としては、そうだ初ナンパだ!(笑)


その前の1986年は大学入学、上京したとき。あとは、木星で死ぬ人もいるんだよね、大往生みたいな感じで。サン=テグジュペリとか。いま、よく覚えていないけど、確かテグジュペリが飛行機で遭難したときには木星が効いていたと思う。これは天上へと帰っていくというイメージだよねえ。

(つづく。次回更新は9月28日予定です)

『魂のコード―心のとびらをひらく』
著:ジェイムズ ヒルマン 翻訳:鏡 リュウジhttp://www.amazon.co.jp/gp/product/4309242073/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4309242073&linkCode=as2&tag=kagamiryuji-22



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シュガー プロフィール

Sugar(シュガー)
1983年生まれ。サラリーマンを経て、占い師。現在、個人鑑定・講座・執筆活動中。
鏡リュウジとの最初の出会いは、「ユリイカ」に掲載されていたシュタイナー研究で著名な美学者・高橋巌氏へのインタビュー。この時に覚えた違和感が、占星術へハマるきっかけに。慶応大哲学科卒。男性占い師ユニットNOTFORSALEメンバー。

●特技はどこでもすぐ寝ること
●ソウルフードは中本の冷やし味噌ラーメン

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