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「オカルト」とは
そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研File No.19 占星術家マッピング1
2013/8/12


一口に占星術と言っても、実際はいろいろあるよね!ということで、今日は占星術家の流派というか、どのようなアプローチの違いがあるのか、といった点について鏡さんと語ってみることになりました。

一般の皆さんが比較的本格的な占星術のコンテンツと接点を持つ場というのは、雑誌や携帯アプリ、ネット占い、あとは実際の対面鑑定などになるかと思います。

でもそれらで活躍ないし執筆、監修している占星術家の間には、様々に異なる個性がある。それは占いをやっている当の本人が自分でも気づかないうちに、何らかの「占い師としてのタイプ」というものを持ってしまうということですね。

 
そうそう。占星術といっても多様なんだよね。最近では、英国のニック・キャンピオンらがAstrologyではなくAstrologiesという複数形で論じたほうがよい、と提唱しています。

 
この話については、僕がよく講座などで使わせてもらっているマップがあるので、それを見ながら進めていきましょう。もともと随分前に、鏡さんの『魂の占星術への招待』(1998年)という本で紹介されていたものですが、最初に見たとき、ものすごく衝撃を受けました。以来、大のお気に入りのマップなんですよ。



 
また、古い本を…笑。そう、僕が尊敬する故イギリスのチャールズ・ハーヴェイ氏が考案されたものだね。実は僕も、最初にチャールズさんの授業でこのマップを見た時には感激したものです。だから紹介したんだね、今にして思うと。

95年のISARの”Astrological Research Methods Vol1”が論文としては初出かな。日本でこのマップを紹介していいかと聞いたら、どうぞどうぞとおっしゃってくださった。

ハーヴェイ博士は英国占星術協会の会長を長年されていた方ですが、その間、イギリスの占星術協会はいまよりもずっと結束も強かったし、互いの交流も密だったような気がする。

もちろん、ネット以前の時代だったから、今のような島宇宙化もなく、またやりとりも直接会うのが一番てっとりばやかったというのもあるけれど、チャールズ・ハーヴェイ氏のお人柄と学識による貢献が大きかったと思うなあ。

どこでもそうだと思うけど、占星術とかって、「オレのが一番」「私の師匠が一番!」ってかんじで派閥、あるいは学派ができがちでしょ。それが反目しあわないで互いに交流する基盤を作ったのが氏だったと思う。

 
日本ではあまり表だった派閥争いというものはありませんが、だからこそ、かえって知識や技量の多寡ではないところでの、自分と他の人との間にある「占星術へのアプローチの違い」が分かりにくいということはありそうですよね。

僕の周りでも、このマップを通して改めて自分の占い師としての立ち位置を自覚できたという人は多い。確かに占星術と一言でいっても興味の持ち方が人によってかなりバラバラなんです。なかなか言語化しにくいですけど、このマップを説明しながら複数人で確認していってもらえば、最初はピンとこなかった人も自分の興味が明確化していくのではないかと。


◇占星術師は自分で自分を占えない?

ところで鏡さん、「紺屋の白袴」のようなことは占いにおいても言われますし、占い師への揶揄のお決まりみたいなところもありますが、伝統的にも、占星術師は自分を占えない、占わないものという認識はあったんですか?

 
いやいやそんなことはなく、ルネサンスの時代の数学者であり占星術者でもあったカルダーノは自伝の導入部には自分のホロスコープ解説を書いてるし、かのガリレオもフィチーノも自分のホロスコープについては言及しています。

自分は占えない、という言説がまことしやかに通用する背景は、例えば医者が自分の身内のことになると自分の希望とか感情が入ってしまって正しい診断ができない、というようなモデルを前提にしていることじゃないかな。

占い師が自分を占うと希望的観測が入って、不安に囚われたり、結果が客観的に見れないんじゃないかって、思うんだよね。

でも、占いのモデルと科学としての医学とはちょっと性質が違うと思う。西洋の近代医学では「病気」という事実があって、それを客観的に診断する方法としての医学があると考えている。

一方で、占いや伝統的な医「術」では人生というリアリティは客観的な事実ではなく、その人にとっての主観的な要素も多いと考える。いいかげんだともいえるけれど、リアリテイの多層性を前提としている。占いはそれを見るための一つの視点でしかないんです。

ぶっちゃけ言えば、じゃあ、「他人のことなら客観的に占えるのか」。そんなことはないだろうというのが、僕の基本的な考えです。いろいろと多角的な見方をするのが占いってことを考えると、自分でみてもいいし、他人に占ってもらってもいい。


◇占い師が自分を客観的に把握するためのマップ

また、占星術ってものすごく多面的なものだから、その人が使っている占星術をみると逆にその人のことが占えてしまうという見方もできる。このマップは、占い師が自分を客観的に把握するツールとしてすごく面白いんだよね。

ハーヴェイ氏は、今風にいうなら「再帰的」に、自分自身の視点を自分自身のツールを使ってメタ理解しようとしていた。授業の前に自分のチャートや授業の時間のチャートを提示して、「今から私が話すのは、このチャートの持ち主の視点、この時間のチャートが示す視点によるものです」という前置きをよくされていたのが、思い出深いです。

 
占星術は、ただ他人を杓子定規にタイプ分類するためじゃなく、何よりも自分の捉え方に気づくためのものでもあるということですね。確かに占星術を通して物事を見ていると、逆に占星術に見返されるようなところがありますし、そうした双方向性が占星術の面白いところだと思います。ではマップの詳細について見ていきましょうか。



これは、上のハーヴェイ博士のマップを簡略化したものです。

皆さんご存じのユングが提唱した心の四機能、そしてそれに対応している各エレメントが、火・地と風・水の二つの軸で整理され、4象限のマトリクスを作っています。


◇エレメント4つのキーワード

各機能&エレメントのキーワードとしては以下のような感じでしょうか。

火、直観=神話、ひらめき、哲学などに親しみ、目に見えないこの世の構造や未来をパッと掴もうとする

地、感覚=体験、データ、効能効果などに親しみ、いま実際に起こっている現象を緻密に把握しようとする

風、思考=知識、概念フレーム、科学などに親しみ、客観的な情報収集のもと物事の意味や正否を比較検討しようとする

水、感情=気持ち、雰囲気、癒しなどに親しみ、共感性や想像力を通じて物事のつながりや快/不快を感じとろうとする

で、例えば火と水、地と風といった志向性が合わさったところに、大まかに4つのアプローチ傾向を示すゾーンが生まれる。


つづく。


ー 他コンテンツ紹介 ー

シュガー プロフィール

Sugar(シュガー)
1983年生まれ。サラリーマンを経て、占い師。現在、個人鑑定・講座・執筆活動中。
鏡リュウジとの最初の出会いは、「ユリイカ」に掲載されていたシュタイナー研究で著名な美学者・高橋巌氏へのインタビュー。この時に覚えた違和感が、占星術へハマるきっかけに。慶応大哲学科卒。男性占い師ユニットNOTFORSALEメンバー。

●特技はどこでもすぐ寝ること
●ソウルフードは中本の冷やし味噌ラーメン

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