鏡リュウジ公式サイト BETWEEN THE WORLDS

上なるモノは下なるモノのごとく、下なるモノは上なるモノのごとく。



「オカルト」とは
そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研File No.22 2014年の木星考察
2014/2/3


皆様、新年の挨拶もないまま、旧暦の新年となってしまいスミマセン!


いろいろ早すぎますね。あれよあれよと東京は都知事選がもうすぐですし。


いやいやほんと……で。今年初のオカ研です。ここはやはり木星の動きから語ってみましょうかね。さんざんいろんなメデイアでもお話させていただいてはいるけれど、今一度、オカ研ならではの視点で2014年の星のイメージを。


今年の7月16日までは昨年から引続き木星は蟹座を運行中ですが、去年はなんといっても木星蟹座な感じがすごく出てましたよね。『あまちゃん』『半沢直樹』が完全にブームとなってテレビ回帰と言われました。


テレビって古臭い言い方かもしれないけど、あいかわらず昔からお茶の間のイメージ。ファミリーな感じがすごくあって蟹座だよね。改めて言うまでもないけど、蟹座は伝統的にファミリーの星座だし、シンボリックには人々の原初的、あるいは本能的な「居場所」みたいなものを示している。


はい、でもちょっとそのファミリーな感じの負の側面に目を向けると、ヘイトスピーチなんかも去年からニュースに上ることが増えてきましたね。ああいう内輪うけを狙った動きや、狭いナショナリズム的な共同体内部の高揚をもたらすのも蟹座っぽいですねー。昨年は水の星座が強調されましたが、水は腐れば偽りの幻想や盲従、異分子への圧力、感傷、被害者意識、美化、馴れ合いをもたらします。

これは人から教えてもらったんですが、昨年末に日経トレンディが発表した去年のヒット商品のベスト1はコンビニコーヒーだったそうです(2位がパズドラ、3位がアベノミクス消費)。あれ僕も結構お世話になってるんですが、おいしいんですよ。それがもう家とかオフィス内でも手軽に飲めるってことですからね。半径2〜3メートルの生活圏内の利便性はもはや極まった感さえあります。



●プチ贅沢の流れ


で、7月16日の夜から獅子座に入るわけですが、木星が「蟹座」の表す身近な衣食住に浸透し、日常が"こたつ化"してきている状況で、そこから火の星座である獅子座へ変わるとどうなるか、という話ですね。

僕はそれこそ、テレビを前にボーっと眺めて座っているのでなく、まずテレビから垂れ流しになっている幻想スイッチをいったん切り、こたつとの同期も解除して、まずは興のおもむくままに行動し、遊んでみる。という光景を思い浮かべてしまいます。獅子座は太陽ですから、日の光がさかんになって、いろいろと旺盛になってくるというか。


なるほど、アベノミクス効果か。ちょっとしたモノを贅沢にというムードは、既にかなり盛り上がってきているしね。ほら、「金の食パン」とか流行っているじゃない。もしかしたら前回のバブル前も、こういう少しずつのプチ贅沢が浸透していたのかもしれないな。

旅行業界は景気が回復してきたと旅行会社の方から伺ったし、実感としては、年末、久々にタクシーがつかまりにくかったなあ。たまたまワイドショーでやっているのをみたんだけど、「金の」とついている商品や金色の品が売れているんだって。ゴールドって占星術では太陽だし、太陽は獅子座の支配星だしね。



●木星=蟹座から獅子座へ。60年前は?



だんだん、力が有り余ってきているとも言えますね。逆にいえばそれは、せっかくの力や勢いをムダ遣いしてしまったり、一瞬で泡にしてしまうリスクがあるとも言える。そしてそれは大抵、火が腐った水を引きずって不完全燃焼した時に起こるように思います。そうならないためには、どうしたらいいのか。そのヒントとして、60年前の蟹座から獅子座への木星移動のときの時勢を見ていくと、ちょっと面白かったんです。1954〜5年にかけてですね。

まず目を引いたのは、力道山のプロレスブーム。それから、第一回モーターショーの開催や、遊園地に日本初のジェットコースター導入、映画館の開店ブーム、それから石原慎太郎の「太陽の季節」に触発された太陽族(無軌道で不道徳な若者像)ブームなんかもありました。


木星が蟹座から獅子座。木星は1年で1星座の移動だけど、動きのもう少し遅い天王星も蟹座から獅子座の時代でもあるね。天王星は7年で1星座だからよりくっりと時代の雰囲気を象徴するというし。


そうですね。この頃がちょうど戦後の日本のエンターテイメントの創世記という感じですね。オシャレでもスマートでもない、むしろ暑苦しくて上等。ただし底抜けに明るくて、破天荒で、元気が出る。そういうものが人々に活気を与えていた時代だという印象を受けました。

翻って、今の私たちにとっても、50年代エンタメの気風にならい、人目を気にしてつまらない見栄を張ったり、胸のうちの違和感を無視したまま、"こじらせ"を放置してしまうのをやめられるかどうか、というのが鍵になってくるのかなと。

蟹座は女性性の強い、内向きな星座です。『あまちゃん』と『半沢』ですからね。ただセオリー的には、次に続く星座で陰陽のバランスをとろうとしますから、次は男性性及び外向きになる力が働いていくと考えるのが自然じゃないでしょうか。僕としてはもっとこう、血沸き肉踊り、思わず飛び跳ねて喜ぶような、男の子っぽいエンタメが出てきてほしいなって期待しています。


それってEXILEのアップデート版か?(笑)。でも、ここ数年、男性はおとなしくなっていたからねー。車の売上が減少したとか、若い男の子はお酒もあまり飲まないとか、まあ、いろいろ言われていたよね。まあ、これはバブル残党のオヤジ的見解なんだろうけど。


オヤジ(笑)。でもまあ、スポーツなんかはサッカーのW杯予選や東北楽天の田中マー君とか盛り上がりましたけど。マー君なんか、奥さんがかなりフィーチャーされて、本人よりむしろ内助の功の方にスポットあたってましたもん……。



●獅子座の支配星=太陽



そこで。獅子座の支配星である太陽から、何かいいヒントが見つからないかと思っていろいろ調べていて、面白い記述を見つけました。

鏡さんの講座や書物などでもたびたび登場する、ルネサンス期フィレンツェで活躍した医者にして聖職者、そして占星術家のフィチーノが「光」について書いていたんです。その論文が翻訳掲載されている『ミクロコスモス』(月曜社)から、少しだけ引用しますね。

「(……)天空は、輝きによって笑いを、運動によって狂喜を表わす。なぜなら、(……)天空は、何らかの力や欠陥によってではなく、身震いを起こさせ、じっとはしていられなくさせるある種の過度の喜びによって動かされている考えなければならないからである。ピタゴラスの徒が言うように、諸天球は、歓喜する神意の歌に合わせて、コロス(※合唱舞踏団)を形作る。そして、非常に秩序だって変化に富んだ種々の運動によって驚くべき調和を奏でているのである。星々が特にその光線によって示す笑いに合わせて、天空の下にある全ての地上物は笑うのである。」(第7章「神意の喜びに向かって、その眼たる諸星辰は笑い、輝きと運動で歓喜の身震いをする」より)


おー! まさにこれぞ獅子座という感じだね。あと、フィチーノで光といえば、「目に見える太陽」と「目に見えない太陽」の話しもあるよね。実際の太陽は、目に見えない精神的な太陽のある種象徴であるというプラトン的解釈。

フィチーノは、ヘルメス思想を再興して、キリスト教と融合させようとしたことで知られているけれど、ヘルメス思想では中心的炎という概念があった。宇宙の中心には炎がある。また、ヘルメス思想では強い太陽信仰があって。コペルニクスが宇宙の真ん中に太陽を置くことを着想した背景には、こうしたフィチーノ経由のヘルメス思想的太陽信仰があるのではないかと指摘する研究者もいるくらいで。ただ、この光とか太陽は、プラトニストからすると一種のメタファーで、真実の光や太陽は、イデア的な、目には見えないものだというわけだけど。



●自分の内側から湧き出る喜び


あと、「ヴィルトゥス」という単語が出てきていたね。引用文では「力」と訳していたけど、英語のヴァーチュー(virtue)の語源で「徳」という意味。

ふつう「徳」といえば「美徳」のことでその人のいい所を表すけど、内側から自然にでてくる力のことを指す。中世のころから、オカルトヴァーチューという言葉が使われるようになった。オカルトとは隠された、ということ。

例えばショウガは体を温める作用にみたいな。ショウガ自体が熱いわけではないのに、体内にとりいれると人を温める。ショウガのなかに「温める」ヴァーチューが隠されて、つまりオカルトされているという解釈。ご存知の通り、16世紀ドイツのアグリッパがこの考えをまとめて「オカルト哲学」という大著を出すわけですよね。

だけど、大元をたどるとそのオカルトヴァーチューというのは「内発的」な力というニュアンスがあるのが面白い。そもそも美徳というのは、他から強制されてやるのではない。自分の内側からわいてくる何かによって良いことをする、そういう意味合いがある。今の言葉でいうとモチベーションに近いのかな。

ここでは、そういうものがこの世界には満ちていると、そういうふうに考えます。これは僕の勝手な連想だけど、星の力がその人の内発的なものを歓喜させるという。まさに、パワーストーンも、パワーストーンを媒介にして星と自己をつなげるという星の魔法。このとき、内と外の二元的区別は意味をなさなくなる。


確かに、「意志」というのは自分で持とうとして持てるものではありませんからね。それこそ発露だから。逆に、「自発性」とか「自発的な行動」というのは罰や賞賛など周囲からの動機付けや意識的コントロールでも発揮可能ですね。内発性と自発性の違いについては宮台真司さんが着目して、詳述されてました。

で、そうしたキーワードから連想されてくるのが「ドラマ性」かなって思うんです。いのちそのものの躍動が生まれてきて「感動」「感激」が起こる。そこから具体的・実際的な「動き」へつながり、結果的にある商品だったり、活動だったり、関係性へと帰結していく。そういうドラマ性というのが、さっき言った50年代じゃないですけど、エンタメというのと表裏になっているし、そうでなければ心から無邪気にはなれない。


エメラルド・タブレットという有名な魔法の奥義が書かれた板があって、そこに書かれていた「上なるものは下なるもののごとし、下なるものは上なるもののごとし」という一文いう有名だよね。いろんなヴァージョンがあるんだけど、たしかパラケルススが引用しているものでは、その続きがあって、「それを知れ。そして喜べ」とあります。


JOYですね。テンションあがらなかったらそれガセでしょと。先ほど鏡さんが言ってましたけど、「見えない太陽」というのを、フィチーノはすごく重視していましたからね。そうなるとやっぱり占星術では太陽星座は大事ってことに……。



●自意識の強化、ダンスのすすめ?


で、ですね、さっきのフィチーノの歓喜で身震い、つまりは踊るってことなんですが、僕、年末に、踊ってみました(笑)。人生初のヒップホップダンス。

初心者向けの講習だったんですが、実際、踊ってみると今まで気付かなかった頭と身体のズレだったり、違和感とかが沢山でてきて、とにかく恥ずかしいんですよ。一瞬何やってんだ俺ってなったり。けど、身体を意識させられることによって、常日頃いかに自分が前ばかり、自意識の方角ばかりへ沈み込みがちだったのかにも気づかされていく。先生からも鏡越しにも横から後ろからも見られていることを意識するので。でもまーそのうち、そういうことも全部ひっくるめて、なんだか楽しくなってくる。


それはまさに自意識の強化だね! 獅子座っぽい! 演劇とかも同じだと思うけどきっとそれが快感になっていくんだろうね。


あはは。でも大真面目に、個人的には7月以降の木星獅子座期には、今から「踊り」をおすすめしたい。道具もいらないし、手っ取り早いですからね。「同じ阿呆なら踊らにゃ損損」というフレーズは、今こそ思い出しておくべきだと勝手に思ってます。


うーーん、僕はヒップホップは踊らない(笑)。でも、授業とか講座やってて思うけど、あれもまあ「ステージ」に立っているようなもので同じことだね(笑)。ちょっと入念に準備していつもと違う趣向の講座でもやってみようかな。楽しいステージとしての、コンサートのような講座もやりたいので、みなさん、よろしく。シュガーくんともまた講座もやりましょう。



(了)

ー 他コンテンツ紹介 ー

シュガー プロフィール

Sugar(シュガー)
1983年生まれ。サラリーマンを経て、占い師。現在、個人鑑定・講座・執筆活動中。
鏡リュウジとの最初の出会いは、「ユリイカ」に掲載されていたシュタイナー研究で著名な美学者・高橋巌氏へのインタビュー。この時に覚えた違和感が、占星術へハマるきっかけに。慶応大哲学科卒。男性占い師ユニットNOTFORSALEメンバー。

●特技はどこでもすぐ寝ること
●ソウルフードは中本の冷やし味噌ラーメン

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