鏡リュウジ公式サイト BETWEEN THE WORLDS

上なるモノは下なるモノのごとく、下なるモノは上なるモノのごとく。



「オカルト」とは
そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研File No.26 土星、蠍座から射手座へ 1
2014/12/4


街はもうクリスマス一色ですね。今年のクリスマスは占星術的には、土星が蠍座から射手座に入るという一大イベントとかさなります。そこで今回は、土星蠍座期を総括していきたいと思います。


これまでおよそ2年ちょっと土星は蠍座にあったからね。蠍座の土星は伝統的な占星術からするととくに強くも弱くもないんだけど、イメージ的にいうとやはりなんだか強烈なものがあるよね。

蠍座は人間の欲望……とくに深いところで何かと繋がりを回復したいという衝動と関係があるような気がします。現代占星術の発達論的な視座からすると、牡羊座で生まれた天秤座では相手と距離をフェアに保つ、分離をいったんきちんとするんだけれど、人はやはり分離したままではいられないから、天秤座の次の蠍座でもう一度相手と深いところでつながろう、融合しようとする。「セックス」と関係があるなんていわれるのはまさにそのためでしょう。

あるいは経済とかね。でも、それらに土星が加わると、相手の支配とか独占、融合、或いは理想が敗れた時に起こってくる恨みの感情などが強調されそう。

近代占星術の父、アラン・レオのAstrology for Allを開くと、蠍座の土星は「キャラクターの力、石のパワー、権力と権威への愛、他者を統括する能力、反対者への嫌悪を強化する」とのっけから書かれています。これは個人のホロスコープへの解釈だけど、もちろん、時代の雰囲気としても読めますよ。


以前取り上げたキーワードで言えば、やはり「LINEの既読問題」というのもとても蠍座土星っぽいですよね。返事を返さないといけない/なぜ返ってこないのかという強迫観念が助長されて、人との距離感が麻痺してしまうところとか。


ネット界隈でも、一斉にみんなで攻撃するようなオール・オア・ナッシングな感じがそう思う。炎上というのはもちろん前からあったけど、加速している感じがする。ネットが出現したときって、本当は小さな声までがみんなに届くようになって、よりバランスのとれた世論形成や意見交換ができるようになるはずだとみんな期待していたと思うけれど、まだその状態には遠い気がする。まだまだ過渡期なのかな。


確かにヘイトスピーチやリベンジポルノなど、ここのところ負の連鎖というのが社会現象として目につきましたよね。そうした行動を加速化させるのは、「許せない」「憎い」といった感情だろうと思います。逆に言えば、それだけ他者やグループなどとの強い結びつきやつながりを通じて自分自身を確認しようとする指向性が強調されてきた。

蠍座土星期というのは、そうした結びつきや共感の中で蓄積され強まった「パワーを何のために利用するべきか?」という問題があったのだとも言えると思います。負の方へリンクしていくのは大抵、利己的な目的のために利用されたケースですね。

今年だけを振り返っても、集団的自衛権の憲法解釈に衆議院解散問題、STAP細胞の小保方さんや、ゴーストのいた佐村河内さん、京都の連続保険金殺人と……まあ、いろいろありましたけど。そこから、もうすぐ射手座土星へ移り変わっていくという流れは占星術的にはどう解釈できるでしょうか?


僕に聞く?(笑) ここは先輩方のテキストを参照しましょう。たとえば『サターン 土星の心理占星術』で土星に深い解釈を与えた、心理占星術のリズ・グリーンが射手座土星について何と言ってるかというと、9ハウス(旅とか理想)と同じ意味があると言っている。

意味の認識、宗教とか哲学といったものだね。自分がこれは正しいと思っているような、深い善の感覚や人生観。ここに土星がストップをかけるから、これまでの人生観とかに自信が持てなくなり、それをきっかけに自分の人生観を組み立て直すことになります。

つまり、信念を喪失することが起こり、人生に確固たるものと意味を与える「新しい」精神的道徳的価値の枠組みを探求するということ。


それは抑圧されていたものが限界に達するイメージと繋がりますか? 土星の蠍座入りは2012年10月6日でした。世界に目を向けるとイスラム国建国とか、ウクライナ問題、最近ではスコットランドやカタルーニャ地方など、集団的なアイデンティティーを求めての独立問題が目立ちます。これは山羊座冥王星との支配星交換の影響としても読解できるでしょうけれど、既存の根深いしがらみから逃れるにあたり必要な譲れない反逆という印象。

蠍座は感情を内へ奥へと貯めこみ、射手座は広く大きく拡散させていく性質があります。これまでグーっと何かを我慢していた人たちが、蠍座から射手座への移行をなぞるように、ようやくそのエネルギーを外へ吐き出して、今それに伴う困難に直面しつつある、というのは都合のいい解釈でしょうか?


もちろん、それがベストなカタチではあるけれど、やはり土星は乗り越えるのが大変だから。心理学的にいうと、土星の課題に直面するのを無意識的に拒否することもあるよね。リズ・グリーン的にいうと、「土星はしばしば偽装する」と。

射手座は人生に向けての真理を求める価値観だけれど、それを追求するのは大変。だから、表面的な相対主義に逃げ込む場合もある。リズ・グリーン曰く「よくある偽装は何も信じない。絶対的な相対主義、懐疑主義になる場合もある。こういうのは一種の強迫観念であって、論理的な分析とか実証主義的、合理主義的気質の産物ではない」。

もう一方は「逆にファナティックに、狂信的になっていく」と。つまり、思考を深めるのではなく、強固なドグマと自分を同一視してゆく。前回、土星が射手座に入ったとき、オウム真理教が成立しているんです。まさに1987年。そして1995年、冥王星が射手座に入ったときに、地下鉄サリン事件が起こりました。


(つづく)

ー 他コンテンツ紹介 ー

シュガー プロフィール

Sugar(シュガー)
1983年生まれ。サラリーマンを経て、占い師。現在、個人鑑定・講座・執筆活動中。
鏡リュウジとの最初の出会いは、「ユリイカ」に掲載されていたシュタイナー研究で著名な美学者・高橋巌氏へのインタビュー。この時に覚えた違和感が、占星術へハマるきっかけに。慶応大哲学科卒。男性占い師ユニットNOTFORSALEメンバー。

●特技はどこでもすぐ寝ること
●ソウルフードは中本の冷やし味噌ラーメン

鏡リュウジ占星術

鏡リュウジ占星術TOP
鏡リュウジ占星術公式スマートフォンサイト
鏡リュウジiPhoneアプリ
鏡リュウジ占星術携帯サイト


鏡リュウジ夜間飛行