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「オカルト」とは
そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研File No.30 シュガー推薦! 鏡リュウジの占星術本1
2015/8/24


今日は、僕が読んで影響を受けた鏡さんの著書、翻訳本についてあれこれ語ってみたいと思いますね。



ぎゃー、恥ずかしいが…たまには自分の本の宣伝もいいかな。品切れ、絶版本も多いし、自分でも忘れているものもある。なにしろ20年以上本を出しているから、時代性も出るかもしれないしね。サンキュー。



まずいちばんに推したいのは『魂の西洋占星術』(1991年)。僕が15歳で高一のときに読みました。

この本は、なんといっても書き出しが占星術の技法ではなくて、聖杯伝説とか神話やファンタジーから始まっていることに、当時ぐっと心を掴まれました。これ、鏡さんが23歳のときに書かれたんですよね〜。後で知って驚愕しました。



単著としてのデビュー作は魔女についての本だったけど、占星術についての本はこれが初めてです。当時、すでにイギリスにはもう何度も通っていて、向こうでも占星術の講座を受けたりしていました。大学院生の時代ね。

その講座のプレゼンテーションのパターンとして、神話やファンタジーの象徴から入るというのは、既にスタンダード。だから僕も占星術の本を書くときはそうしたい、と若かりし日は思っていたんだろうな。

当時、心理占星術の教科書的な本は日本ではまだ珍しかったから、僕がイギリスで習ったことをそのまままとめました、ということなんですね。



なるほど、そういう訳だったんですね。まだ占星術と出会ったばかりの頃で、「キローン(カイロン)」なんてマイナーで新しい天体について扱っている本には出会ってなかったので、この本ではそこがいきなり熱く語られているのも衝撃的でした。

新しい星が発見されたら、占星術も変わるのかと、かなり興奮したのを覚えています!



今思えばよくこんな本を出させてくださったものです。まだバブルの余波もあった時代だったから出版社もいろいろやらせてくれたんだな、と思います。この本、エルフィンの占いブックシリーズの第1弾なんですよ。

一方で、じつは担当の編集者はすごく占いに詳しい方で、具体的なシャープな占いがお好きだった。こういう象徴を扱った「ふわっと」したものが通ったな、と(笑)。生意気だった僕を寛容に受け入れてくださったんですよね。



挿絵もなんというか少女漫画チックですよね。 例えば水タイプの子のイラストなんて、絵筆をもったゆるふわヘアーの潤んだ瞳の子で、まさにこれが典型的な水タイプだ!と当時、ガン見してました(笑)



今とは本の作りそのものも違う感じがするよね。当時はこういう少女漫画ちっくなイラストレーションは本人としてはちょっと違和感があったりもしたんだけど…まあ
23歳男子からしたらそうだよねえ…今にして思えばこれもよかったのかと。

でもこの本は、ユング心理学と占星術を結びつけたら面白いはず、と10代の頃からずっと思っていたテーマで書いた初めての本だから思い入れも深いのでそんなふうにシュガー君に読んでもらえたのはうれしいかぎり。



ちょうど中3の途中でユングのことを知って、2,3冊ユング心理学の入門書を読んだ上でこの本を読んだんですが、おこがましい話、自分がなんとなく思っていたことをすでにずっときちんと本に書いている人がいた、ヤバい!と当時思ったものでした(笑)

(パラパラと本をめくりながら)いや、この本、今見てもよく出来ているというか、RPGっぽいですよね。



あ、そうそう! その手の本を意識して書いたんだよね。当時、「ゲーム本」なんてのが売れたことがあって。本のなかでゲームの分岐をさせて、「こっちを選んだ人は○○ページへ」というような。



あ、そうだったんですか。最近は色々なクリエイターがゲーム作りに関わっているせいか、神話的な骨組みがしっかりしているRPGが増えてますけど、『魂の西洋占星術』もそういうカテゴライズで見るとまた新鮮ですね。

ゲームブック的に壁に突き当たったり、いろんな手掛かりをヒントにしつつミッションをクリアしていく仕掛けは、素晴らしい体験のよすがとなりますし、これから占星術をやろうと思っている人や、情報量に圧倒されて覚えることに疲弊している人にこそ読んでほしい。ぜひ復刊してほしいですね!

しかしこういうふうに改めて振り返ってみると、この本は鏡さんの占いに対するスタイルをよく物語っている本でもありますね。個人鑑定ではなく、あくまで雑誌やネットというメディアを通して占っていく際のやり方について。

大きなメディアを媒体として多くの人に説得力をもって「読ませる」占いの文章にするには、深読みしたくなるような象徴をうまくちりばめつつ、魔法をかけるように語っていくことが必要というか。逆に個人鑑定の場だと、また違うやり方を求められるかな。



たしかにそういう側面はあるかもね。でも占星術の鑑定家でもユング派の分析家でも本当に力のある人は、こういう背景を知ったうえでそれを出さずに、クライアントをうまく占えるはず。



それも大事な点ですね。占星術やっている人はぜひこの本を読んで「象徴」を扱うことの豊かさに触れてほしいなって思います。

あとチャートを読んでいく際のイロハも、この本で型を身に着けたかな。まずアセンダントで何となく漂わせている雰囲気を読み、でも実はその裏で月が表す内面や気質を持っているんだとステップを進め、そして太陽を見て、こんなふうに生きていきたい人なんだ、というまとめていけばいいんだって。

具体例も面白かったですね。キローンの例としてマーチン・ルーサー・キング牧師のホロスコープが載っていて、木星とキローンが合だった。そこでキローンのイメージがバシーンと決定的となりました。

それから、ユングとアドラーとフロイトがチャートと並べて解説してあって、そこで彼らの深層心理への考え方が、ホロスコープの中で端的に表されているのを見て、やはりびっくりしました。そう、とにかく色んな意味でびっくりさせられた本だったんですよね、この本は。

そしてもう1冊。お次はなんといってもリズ・グリーンの『占星学』。



出たのは、1994年かー! 女性誌も華やかな時代でしたね。



僕は、ドフトエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を読みながら、この本を読んでいたらすごくマッチしたんですよ。

当時、父親が交通事故で生死をさまよっていたときで、母親に「回復しなかったら高校やめてね」と言われた高校二年の時でした。そういう現実の緊張感も相まってこの本は更にディープにハマりましたね。

読み出したらとまらなくて。ちょっと話がそれますが、日本史の2コマぶちぬきの授業のとき、先生に受験前にちゃんと勉強するからこの本を読まさせてくれ、といったら、あっさり、いいよ、と。



な、なんと…シュガーくん、苦労してるんだね。でも高校生で『カラマーゾフ』って、シュガーくん、ほんとに僕より下の世代か??(笑)。

それに、そのときの高校の先生も 理解あるーー!! 今、なかなか勇気をもってそういう指導ができないよね。


ははは、カラマーゾフは中学の時にユングを教えてくれた国語の先生の勧めです。ロシア文学科出身の味のある先生で、当時かなり影響を受けました。高校の日本史の先生は、ちょうど今の僕くらいの年齢の、進取の気性のある女性教師の方で、受験合格したときも中華料理おごって頂いたな(笑)。

ともかくそれで教卓の前の席で1年くらいかけて、ホロスコープを手書きしたりしつつ、何度も何度も『占星学』を読みこんでいきました。なんだかんだ充実してたなあ。


『魂の西洋占星術』鏡リュウジ著
http://www.amazon.co.jp/dp/4051056724



『占星学』リズ・グリーン著、岡本翔子+鏡リュウジ翻訳
http://www.amazon.co.jp/dp/479176725X


(つづく)

ー 他コンテンツ紹介 ー

シュガー プロフィール

Sugar(シュガー)
1983年生まれ。サラリーマンを経て、占い師。現在、個人鑑定・講座・執筆活動中。
鏡リュウジとの最初の出会いは、「ユリイカ」に掲載されていたシュタイナー研究で著名な美学者・高橋巌氏へのインタビュー。この時に覚えた違和感が、占星術へハマるきっかけに。慶応大哲学科卒。男性占い師ユニットNOTFORSALEメンバー。

●特技はどこでもすぐ寝ること
●ソウルフードは中本の冷やし味噌ラーメン

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