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「オカルト」とは
そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研File No.32 生命が存在しているかも!? 火星について語ります 2
2015/11/24


では、ちょっと古代からの火星のイメージを掘り下げてみようか。

2世紀のプトレマイオスを参照してみよう。プトレマイオスはプレ科学的に占星術を見ていた人だから、彼の説でいうと「火星は熱くて乾いている凶星」「土星は冷たくて乾いている凶星」。



人の心を燃やし戦いに駆り立て、大地を砂漠化させるのが、火星。土星は冷たくて乾いているからメランコリックになる。



火星は牡羊座の守護星で山羊座で高揚する。土星が守護星の山羊座でなんで高揚するのか不思議に思っていたんだけど、プトレマイオスによると、山羊座は星座でいうと北半球の一番南側にあるんです。だから一番南、暑いエリアにあるということで解釈していました。



なるほどー。一方で現代というか20世紀以降は、過剰に「リビドー」と結び付けられている印象ですね。



能動的な意味合いでのセクシャルなエネルギーとは結び付けられているね。でも、誘惑するような、堕落させるようなアフロディーテ的なイメージは金星な気がするけど。



じゃあ金星人に連れ去られてたら堕落してたかな(笑) でも空海は金星が口の中に入ってある種の悟りを得ていますし、日本の神社にもいくつか「天津甕星(あまつみかぼし)神」という星の神を祭っている社があるんですが、平田篤胤はこの「甕星」を金星だとしています。東洋と西洋でまた受け止め方も違うのかも知れませんね。

地球から見ると、太陽系の一つ内側の軌道を回っているのが金星で、一つ外側が火星。地球に一番近い惑星2つは、宇宙へと人類が惹きつけられ、飛び出していこうとする際に最初に関わっていく敷居や窓口みたいなものとも言えます。

ただ占星術をやってる人の中では、一般的に金星はポジティブなイメージが強く、火星はネガティブなイメージが強いという風潮はあるんじゃないでしょうか。プトレマイオス以前の火星がどう扱われていたのか、もう少し教えてくれませんか?



最初はバビロニアのネルガルという戦いの戦争神。ギリシャではアレスの星といわれるようになりました。アレスはゼウスからも嫌われるくらいです。ヘシオドスの『神統記』には「街の略奪者」という描写があったり。アレスという神自体は、どうも戦争中の人間の残虐さや破壊力を象徴化したものだったのではないかと言われているようですね。

アフロディーテと不倫したり、壺の中に一年間閉じ込められたりとか。。。とにかくすごく荒々しくて残忍で良いとこなし。これがローマのマルスになると突然、正義の神になる。戦いの神は戦いの神だけど、ローマの守護神はマルスだから。狼に育てられたマルスの子どもがローマを建国した。アレスからマルスへと神様そのものの成長があったのかもしれない。



そのあたりは、つねに領土紛争や他国との抗争を抱えていた軍事国家であるローマが、積極的に戦争やそれを支える兵士を肯定したという背景もありそうですね。



そうだね。それで占星術業界ではながらく凶星扱い。ただし、古典時代から火星の積極的な面を認めるものもあって。ホメロス風讃歌には、ちゃんとアレスに捧げられたものがある。

「天空の七つの径辿る星々の間で
燃える軌道を巡る者、
そこでは火焔吹く馬どもが、御身をば
第三軌道の上に運びゆく」

と火星とアレスを結びつけています。(沓掛良彦訳注『ホメーロスの諸神讃歌』平凡社より。ちなみにホメロス風讃歌はホメロスの作ではなく、ホメロス的な文体で紀元後に編まれたものだとされている)

第3軌道というのは、当時は地球から一番遠い惑星である土星から数えて三番目の軌道であることを示したのでしょう。ここでは「疲れ知られざる無双の槍の使い手、オリュムポスの護りの胸壁」「心正しき人々の導き手」ともされています。

現代的な占星術では、こうした火星の攻撃力をアグレッションだとか強い行動力、闘争本能というふうに内面化して考えることが多いわけだよね。



そういう火星を、では現代において、実際にチャートを読むときにどういうふうに受けとっていきましょうか。



一般的な解釈としては、火星があるところの星座はその人の攻撃性がどういうカタチであらわれるか、ハウスが入っているのは自分がどの領域で何かを掴みにいくのかということだね。



地球を基準にすると、身近な日常世界より大きな社会的現実やマクロコスモスへの橋渡しをしているのが火星ですね。自分より大きい世界、向こう側の世界に足を一歩踏み出すという力。それは内輪でなんとなく穏便にすませていた人にとっては勇み足だったり、あるいは人のやらないことでもやってやろう、というときの「力み」でもありますね。

その力み方やエネルギーの飛ばし方みたいなのは星座で、具体的にどういう場でエネルギーをぶつけ、発散されていくのか、というのはハウスでしょうね。

ところで鏡さんの火星はどんな感じですか?



僕は、10ハウスの牡羊座に火星があって土星とコンジャクション。だから火星は強い。



火星と土星のコンジャクションはそれこそ軍人みたいですよね。けっこう冷徹に戦えるし、過剰に興奮せず、淡々と「あそこを爆撃せよ」とやっていける(笑)だからエネルギーの発散も一瞬で終わらず、ある程度長く続くし、そうでないと発散できない。



そういえば、僕が心理占星術に興味をもったきっかけは、火星土星コンジャクションにあるかもしれない、と思い出した。たまたま読んだ本にこれは邪悪な配置と書いてあったんだ(笑)



悪く転じれば、鬱と怒りのスパイラルですからね。自己破壊ですわ。



鬱と怒りならばいいんだけど、なんといっても「邪悪」だからね(笑) 

当時よく読まれていた日本の占星術書で「火星と土星のマレフィック(凶星)同士のコンジャクションはもっとも不運な座相といえる。この惑星が入っている星座のわるい意味やマイナス面が強調されるとみてよい。精力減退、暗い性格、病気や事故、きびしい人生といった要素が強く、それを乗り越えるにはかなりの努力をようするだろう」(流智明『占星術教本』JICC出版局)というのもあった。



それで心理占星術のリズ・グリーンを知って、もっと血の通った解釈もあると思ったということですか? 



惑星を心理的衝動としてみているから解釈が立体的になるよね。火星の強い衝動を土星の恐れが抑圧して葛藤を引き起こす、というような。すると自然にストーリーというかドラマが生じて、単にいいとかわるい、吉凶というとらえかたではなくなるわけです。



それは当時の実感として、どんなふうに思い当たったんでしょう?



まあ、当たるというよりもこういう解釈の仕方があるのかと目からウロコ。高校生のころ。それに確かに自分のなかにはこういう側面があるね、抑圧された怒りだとか。



僕は自分のネイタルの火星に関しては、最初から結構シンプルに納得できました。2ハウスで蟹座に火星があります。蟹座って吸収する、消化するものだから食べ物、2ハウスも自分の好みを表す。僕、まさに激辛好きですから(笑)

通っていた高校のすぐそばに、蒙古タンメンで有名な「中本」の1号店があって、一番辛い冷やし味噌ラーメンを食べ続けていたんですが、ちょうどその頃、占星術の勉強はじめたので、なんか腑に落ちたんですよね。



ふつうに解釈すると2ハウスなら働きものということになるね。



うーーん(笑) 火星・冥王星がスクエアだからかも知れませんけど、僕の場合はゼロか100かで極端かもしれない。やるときはすごく集中して、とことんまでやらないと気が済まないけど、かと思えばしばらく何もやらない、みたいな。

あと、運動選手やアスリートも火星の人ですよね。火星は身体部位では筋肉と対応しているし。僕は激しいスポーツが結構好きなんですが、高校生の頃やっていた自転車競技は、練習も気絶するまで漕ぐとかそういう部活だったんですよ。大学のときも毎月1度は40リッターのバックパック背負って登山にいってましたし、そういうところで発散していたんだろうと思います。


(つづく)

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シュガー プロフィール

Sugar(シュガー)
1983年生まれ。サラリーマンを経て、占い師。現在、個人鑑定・講座・執筆活動中。
鏡リュウジとの最初の出会いは、「ユリイカ」に掲載されていたシュタイナー研究で著名な美学者・高橋巌氏へのインタビュー。この時に覚えた違和感が、占星術へハマるきっかけに。慶応大哲学科卒。男性占い師ユニットNOTFORSALEメンバー。

●特技はどこでもすぐ寝ること
●ソウルフードは中本の冷やし味噌ラーメン

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