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「オカルト」とは
そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研File No.32 生命が存在しているかも!? 火星について語ります 3
2015/11/26


火星はその人をどうやって燃焼させるかですね。猫と同じで、エネルギーって余ってると怒りとか攻撃とか、くすぶってネガティブな方向に向かいますから。

例えば、海王星の幻想性が強すぎたり、単なるないものなだりになって、火星を不完全燃焼に追い込むと、エネルギーが行き場を見失って無秩序へ向かい、結果的にアルコールやドラッグなどの依存症や精神的な病いなどの犠牲者に自らを仕立てあげてしまう。

しかし逆に、人が火星とうまく付き合い、よき影響を引き出せたなら、通常の運動ではなかなか発散できないような精神のモヤモヤやしがらみを、火星が護摩焚きのように燃やしきってしまうこともできる。つまり、火星・海王星は「得体のしれないものの犠牲者」とも、「病いを祓う力」とも両面から解釈できるという訳です。



ルネサンス期のフィチーノあたりだと、火星はもちろん凶星の扱いなんだけど、医者は毒も薬として使う、という言い方をする。

「もし土星や火星がはじめから有害だと信じている人がいるならば、それには私は同意しない。医師がときに毒性の薬を用いることがあるように、これらもまた活用することができるはずだからである」(トマス・ムーア著 鏡リュウジほか訳『内なる惑星』青土社)



医師であり錬金術師であり、占星術師でもあったパラケルススが「毒も薬なり」と喝破したことで有名ですが、毒としての火星をいかに薬へ転化させるか、それこそが占星術ならではの考え方なんだということですね。



そう、そこでヒューマニティック占星術、心理占星術を先取りしていることになるね。

「臆病さを埋め合わせるためには、火星が支配星である蠍座が上昇する一日の始まりの時に、王冠を頂き武装するマルスの図像を刻め」

つまり自分のなかの火星的なものをしっかりと意識化させていこうということ。



一般的な解釈では火星が特定の星座を運行しているあいだは、その星座にひもづいた衝動や行動がエネルギッシュになりドライブがかかるといわれてますよね。たとえば牡牛座にいると買い物欲や物欲食欲が高まったりとか。



良くも悪くも火だからエンジンになる。暴走すると危険で、凶星になるということだね。



ただ、そういう火星の扱い方って日本人は下手なんじゃないかと思うことがあります。たとえば、怒りの表現にしても日本人は、チクチクとくすぶった怒りの表現になりますよね。スカッと「こらーっ!」て怒るのはあまり上手じゃないというか。



それ、大阪人はうまそうだね。明るく「アホちゃうか」と言える。



そうそう。東京の人だと冷たく「バカじゃない?」と言って心を閉じてしまうか、黙ってピリピリしたまま時限爆弾を抱えてしまう。そのキワで、すっと開いて放出していけるかどうかは、各個人の火星の扱い方や経験知にかかっている。



健康的な攻撃性というのは必要かもね。ラテン系の人たちもそうか。



それはいま日本人に一番欠けてる要素のような。あるいはその扱いにビビってる部分。



対する「気取り」は金星だね、そういえば。



作為は金星の領域。悪く言えば、見せかけ。



火星が守護星の牡羊座、反対は金星が守護星の天秤座だし。



鑑定の現場では、チャートで火星がその人の出生図の12ハウスを運行してたりなど、火星が使いにくそうだったり自覚が弱くて、恋愛や仕事で悩んでいる人だったりすると、スポーツ観戦やジム通いを薦めて、火星を感じることから始めましょうと言うこともありますが、鏡さんは「火星をうまく使う」「火星を活かす」というと、どういうことをイメージしますか?



怒りとか攻撃性ってどんな人間にもあるわけだから、それをていねいに見ていくといいのかも。怒りを表現してはいけないという社会的プレッシャーでそれを無理やり抑えこんだままにしておくと毒になっていくと思います。



ヘイトスピーチとか。堪忍袋の緒が切れるという後戻りできないところまでいかないように、普段から怒りの萌芽を小出しにする、あるいはもっとシンプルに怒りを見つめる訓練も必要ということかもしれませんね。

僕はいま月に1,2度ヨガに行っているんですが、先生がよく「体というのはきちんと使ってあげないと、どんどん衰えていく」だから「たまにでも「ちょっとキツい」と感じる動きをしていきましょう」みたいなことを言うんです。そうすれば次第に体が限界値があがって、普段からもっと疲れず楽に過ごせるからって。

それで、僕は毎回、先生のポーズをマネしながら「無理無理!」とか「しんどっ!」とか喚きつつ、気付いたら体の機能が向上しているのを感じている。これも火星を見つめ、感じる、ということの一環でしょうね。



ところで、火星の強いチャートの持ち主といえば、心理学者のジェイムズ・ヒルマンがすぐに思いつきます。自分で僕は火星の子と言ってくるぐらい。火星が支配星の牡羊座の新月の生まれです。ずっとユング心理学業界でホットな論争を好んで巻き起こしてきた。



他は……まず思い出すのはアイルトン・セナ! 1室にある水瓶座の火星が、天王星とオポジッション。常人の理解を超えたキレキレのドライビングテクニックを誇った「音速の貴公子」そのもの。

それから、吉本隆明は火星天王星が合で水星とスクエアだし、小室直樹は火星冥王星が合で天王星ともスクエアで、とっても強力。こちらは日本の戦後思想における論争の火付け役という意味で、「火星」の役回りを担った人たちと言えるかも。



あとはラッセル・クロウも太陽と火星が牡羊座。サッチャーも強い。火星をうまく使って成功している感じがするね。

やる気のスイッチになるのは火星だと思うから、怒りを貯めこませず、みなさん、適度に火星を表現していくと元気に生きていけそうです。

ちなみに、火星(戦い)と対になって考えられたのは金星(愛)ですが、先のフィチーノはこんなふうにいっているそうです。

「火星は金星に従い、金星は火星に従わない。大胆さは愛の従僕だが、愛は大胆さの召使ではないのだ」

この火星のエネルギーを愛の元におく、というのが大事だと考えられてきたんでしょね。もっともそれは難しいけれど。

あとなんといっても、地球外への人類移住が火星が一番に候補にあがっているというのも、やはり占星術的にも一番好きな牡羊座の守護星・火星らしいニュース。火星のドライブをかけて宇宙開発がもっと進んだら面白いだろうね! 

火星については、鏡リュウジ占星術でもいろんなメニューを出しているからぜひしっかりチェックしていただきたいです。


『内なる惑星―ルネサンスの心理占星学』
トマス・ムーア著、鏡リュウジ・青木聡翻訳
http://www.amazon.co.jp/dp/4791759397



(了)

ー 他コンテンツ紹介 ー

シュガー プロフィール

Sugar(シュガー)
1983年生まれ。サラリーマンを経て、占い師。現在、個人鑑定・講座・執筆活動中。
鏡リュウジとの最初の出会いは、「ユリイカ」に掲載されていたシュタイナー研究で著名な美学者・高橋巌氏へのインタビュー。この時に覚えた違和感が、占星術へハマるきっかけに。慶応大哲学科卒。男性占い師ユニットNOTFORSALEメンバー。

●特技はどこでもすぐ寝ること
●ソウルフードは中本の冷やし味噌ラーメン

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