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「オカルト」とは
そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研 File No.4 マヤ暦&アセンションの真相は? 1
2011/11/24



今日のオカ研は、マヤ暦&アセンションです。気がつけばもうすぐ2011年も終わりだしね。ひところ、マヤ暦やアセンションって言葉をよく聞いたけど、いったいどんなことになっているのかな?

僕からすると、まあ、しょちゅう出てくるライトな終末論かつ千年王国論だと思うんだけど。歴史的には「今こそ“世の終わり”であり、その試練or時代の裂け目をくぐりぬけたときに理想的な神の国が実現する」というヴィジョンで、これが「預言者まち」やキリストの再来を期待する運動として何度も熱狂を呼び起こしてきたよね。

キリスト教だって最初はそういう面があったと思うし、異端の発生や宗教改革にもそういう面があった。もっとも、今回はえらく軽いかんじだけど、その軽さというかカジュアルさがかえって新しいのかもね。ごく普通の人がさらりとマヤ暦とか言い出す。


マヤ暦は最近も僕の周囲でハマり出した人がいますよ。某大手広告代理店勤務の人やら、DJやってる人やら。どっちもアラサー男子。

アセンションは意味としては「上昇」ですよね。一般的に「次元上昇」と言われているから、キリストの昇天かと思ったらそれは英語ではアサンプションでした。

で、それで関連づけられているのが、「フォトンベルト」。何かというと銀河系にあるとされている、ドーナツ型に光子が帯のように集まっているものです。
そこを太陽系が11,000年毎に2000年かけて通過してるらしいんですが、次に地球がそこへ完全に突入するとされているのが2012年12月23日だとか・・・。それがマヤ暦の終わりと重なった、と。

その時に人類が遺伝子レベルで変化し進化する=次元上昇するというのが「アセンション」。まあ、もっとも「フォトンベルト」はもちろん科学的には支持されていないですけどね。91年に科学ジャーナル誌の『Nexus magazine』に取り上げられた時も、特集名は「The Photon Belt Story」。あくまでストーリーですから。


とはいえ僕の知ってるNEXUS誌は英語版の「ムー」みたいなものだけどね。

物理学的なことは僕も詳しくはないけど、「光」がベルトになってある場所にたまるなんてことはありそうにないですな。天文学者からそんな話は聞いたことはない。あくまでも神話的な表現なんでしょうけどね。

この3、4年かな? いわゆるスピリチュアルなことに関心がある人の間では、「次元上昇」するために感謝したり善行をして功徳を積む、みたいなのが流行っていたような気がするけど。

でもね、この間、うちの書棚をあさっていたらびっくりするようなものが出てきたの。アセンションってもっと早い時代から日本でも話題になっていたのだ。

流智明さんという、有名な占星術家がいるのシュガーくんの世代でも知ってるよね? かつて別冊宝島から『ホロスコープの作り方』というムックを出した人。これが『占星学教本』という本にリメイクされて、僕の時代にはわりと標準的な日本の占星術の教科書になっていたの。『惑星大予言』(二見書房)とかノストラダムス予言書のような本を出してもいるんだけど・・・

その方が私家版というか個人同人誌のようなかたちで出しておられた『星界通信』というのを頂いていた。うちにあるのは003号で日付けは1996年秋。それが「緊急特集@」でアセンション特集なんだよね! 近々、アセンションが起こるからその準備をしなさい、という内容ですごいぶっとんでいる。


勉強始めた頃に、流智明さんの『占星学教本』読みましたよ。

あとこないだ10月28日でしたっけ? スウェーデンの伝統的なマヤ暦研究者が計算しなおしてみたら、日にちが違っていたとかで、2012年から今年に早まりましたよね。一部話題になったようですが何もなかった。それもあってか、「ライトスピ」な人たちの間では、アセンションブームも影を潜めつつありますね。今はもう次の新しいブーム待ちみたいな感じなんでしょうかね?


うん、まさにそうなんじゃないかな。次元が上昇する、それに乗れる人とのれない人がいるというのは、一種の選民思想だけれど、これは終末論一般にある特徴。

でもそれが今回はカルト的な形にならないという点が新しいと思う。以前だったらすごく修行してカルト化していってたのが、アセンションがあるかどうかわからないけど、とりあえず感謝するとか、掃除をする、とかね。それに本人たちもどこまで本気かわからないというライトな感じが新しいのかな。

僕からすれば、最近の終末論というのは、個人史と重なる部分があると思う。この世界そのものが変化しているという感覚と、自分自身の人生の節目とがどうも重なり合っていくんだよね。

「予言」だけじゃなくて、リーマンショックとかインターネットの普及や携帯やスマホの登場とか、そういう時代の転換点みたいな特別な時に自分が生きている、それは自分が特別だからというナルシシズムが働いているような気もするな。


ナルシシズムというか、やはり一種の宗教感情の発露じゃないですか。ただそれが既存の大宗教のように堅牢でヘビーな形じゃなくて、なんだか粘菌やアメーバのような不定形で存在感がどこかライトなだけで。

このライトさって、Twitter的な“希薄さ”みたいなものとも通じますよね。ソース元が曖昧かつ複数の発生源を持ってぼかされたまま色々な角度から「アセンションってあるらしいよ」という言説がとびかって、ずっとRT(retweet)されていくイメージです。そのライトさが広がった要因でもあるでしょうね。

そもそも、マヤ暦とニューエイジを結びつける発想の大元は、ホセ・アグエイアスです。彼は14歳のときにメキシコのピラミッドでインスピレーションを得て、数学と暦の研究をスタートし、古代マヤ暦の解読に取り組んだようですが、かなり独自の解釈と言うか、あくまで「アグエイアスバージョン」という感じですね。ただそれが逆に、ライトさが付け入る余地が残されてるというか。


アグエイアスの本は彼の直観と連想と、数学的なパッチワークが入り混じっているよねえ。そもそも彼の本の典拠は易なんかとも結びついていて、マヤに還元できない。だからこそその著書は『マヤン・ファクター』(三五館)、つまり「マヤっぽい」もの。

ただ、この「次元上昇」思想のルーツは神智学にあるよね。さきの流さんの本も神智学的な、存在の7段階のレベル(密度)について表にしている。


そうですね。


密度が濃いほうが下層にある。つまり、地上があって肉体にしばられる物質世界、それが次元上昇して密度が薄い上層に昇っていくイメージ。神智学もルーツはそれこそシュガー君の専門のプロティノスの新プラトン主義だね。


はい、神智学や人智学の系譜を辿っていくとルネッサンスに息を吹き返した新プラトン主義思想や、3世紀のプロティノスに突き当たります。彼は、自分は人生4回昇天した(一者との合一)と弟子に語っていますしね。

また、プラトンやグノーシス的なものは、この世は牢獄だからどうやって向こう側にいくか(魂の向け変え)というのが大きなテーマです。その流れが近代に入って神智学という形で登場し、いま、またアセンションとなってきているとも言えますね。

(つづく)

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シュガー プロフィール

Sugar(シュガー)
1983年生まれ。サラリーマンを経て、占い師。現在、個人鑑定・講座・執筆活動中。
鏡リュウジとの最初の出会いは、「ユリイカ」に掲載されていたシュタイナー研究で著名な美学者・高橋巌氏へのインタビュー。この時に覚えた違和感が、占星術へハマるきっかけに。慶応大哲学科卒。男性占い師ユニットNOTFORSALEメンバー。

●特技はどこでもすぐ寝ること
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