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「オカルト」とは
そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研File No.37 人気手相観 日笠雅水さんと「占い」を語ります【2】
2016/6/26

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人気手相観 日笠雅水さんと「占い」を語ります【2】
  日笠雅水×鏡リュウジ
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■インディペンデントに生きるということ


ところで雲隠れ時期3年間は何をしてらしたんですか?


日笠
自分なりのなんちゃって千日行をやってたんです。いまの自分でなにをやりたいかわからないなら、禊がれてちょっとマシな自分になったら違ったものが見えるんじゃないかと思って。

昔から抹香(まっこう)臭いものが大好きなんです。お経唱えたり、護摩焚きしたり、一人で山をめぐったり、瞑想したりするのが大好きだった。でも宗教家にも絶対になりたくなかった。神様仏様は大好きだけど、宗教には入りません。



へえ!! けっこう霊的世界に……。ただ、そういうのが好きなかたは、年代的にヒッピー系というかカウンターカルチャーにいく人が多かったのでは? そうなると、なかなかポップにはいけない。

でも、同時に日笠さんにはミュージックシーン出身ということもあってメジャーな「かっこいい」ものへのリスペクトがあって、社会適応もされておられる。でも、社会適応ばっかり考えると今度は「願えばお金も愛も手に入る」みたいなニューエイジにいきそうだけれど、当然、それもない。

日笠さんは、自己顕示欲や名誉欲、金銭欲とか、そういうのとは距離をとりつつ、自分の射程範囲をわかっていらして、マーケットを持ち続けてずっとやっていらっしゃるのは、冷静に考えると珍しいタイプだな、と思いました。そういう部分が僕にとって魅力的なんだと思います。


日笠
いまでいう精神世界とか引き寄せ系とかそういう時期もあったんですよ。そういう言葉はなかったですけど。だけど群れに入りたくないんですね。群れというか、風潮みたいなものですね。手相もそうですけど、あくまでも一匹狼派なんです。あとね、なりきってる人を見ると、すぐに恥ずかしさを感じてしまうんですよ。



わかります!! 恥を知れってやつでしょう。


日笠
宗教家とかカリスマとかグルとかになりたい人ってすごくたくさんいます。みんな好きでやってるのはいいんだけど、私はそういうのになりたくないってどこかであったんでしょうね。恥ずかしく感じることで自分は守られてきた気がします。



日笠さんはインディペンデントなんですよね。自立されてる。自分の価値観をちゃんと構築されて、自分を大きく見せようとするのは恥ずかしいという感覚をお持ちで。最近、恥ずかしいってあまり聞かなくなりましたもん。


日笠
恥ずかしいのもね、こっ恥ずかしいなんですよ(笑)



それは大切な感覚ですよね。ちょっと前までは「なーんちゃって」という感覚があったと思います。


日笠
わたしは欲が少ないことに守られてるんですよ。



運がよくなる一番の方法は欲をかかないことだとよく言いますからね。


日笠
自由じゃなくなりますからね。みんな、何が成功だかわかっていないんですよ。わたしはお金は求めなかったからお金はない。だけど自由はある!

だから、もうほんとに結婚しなくてよかったと思ってます。結婚しなかったから子どももいないし、へんな縛りがないから、年齢にも縛られずに自由でいられる。一番大切なのは自由なんです。自分の中の無邪気さを自分である程度守ってないとだめなんです。

こういう仕事って無邪気さがないとやっていけないじゃないですか。こういったら人はこう思うんじゃないかって計算した途端、いい仕事にならなくなっちゃう。誰も素直に聞かなくなります。

前回鏡さんとお会いしたときは去年でしたが、あの頃は、もうちょっとお金持ちになれたらいいなという気持ちが残っていた。あれがいつの間にかなくなりました。いまは売れたいとか、もうないんです。



え? そうなんですか? あのときもそんな欲があるようには……。


日笠
もうちょっとマシになって、引越しぐらいできるようになりたいとかありました。でも欲張るとその分働かなくてはいけないから、いまのままでいいや、と思ってしまったわ。



実は僕も、この半年ぐらいなんとなく汲々としていたのがあったんです。が、ちょっと前に1週間イギリスに行って、向こうで占星術をやっている先輩たちにあって元気になったんです。たった1週間、しかも、半年ぶりにイギリスで過ごしただけで汲々とした気持ちがなくなった。やっぱり日本という社会がそうさせてるんじゃないか、と思ってしまいました。インディペンデントでは生きにくい世の中にますますなってるんじゃないか、って気がしています。

知り合いの占星術師も老後の心配はそれなりにあるだろうけれど、イギリスは社会保障がしっかりしているから、日本よりは深刻ではないのもあって、好きなことやって生きてるんですね。それはもちろん、ある程度以上の階層だと思うけれど。欲をかいて生きていない。占いとか好きなことをやりたいから、大学で研究したいからとか、ちゃんとやっていらっしゃるのがわかって。


日笠
じゃあ、そういう人たちをみると鏡さんもこれからどうしたらいいか自分で、答えが見えてきたんですね。



具体的な答えは見えないですけど、日本にいると、ずっとこれからも走り続けないと老後が大変だとか思ってしまう。そういうふうに思いつめなくてすむというのがいいな、と思いました。


日笠
背負ってるものがないというか、わたしや鏡さんは占い師向きだと思うんですよ。それはいい意味で一人でいるじゃないですか。お金のため、家族のため、会社のために働かなくていい。名誉のためにとか、何も背負ってない。だから守られてるし、逆にいうと、ちょっと浮世離れした私達みたいなのが占い師向きなんですよ。占い師というかフリー向きですね。



森と町の真ん中に住んでる感じでしょうか。『魔女の宅急便』に出てくるキキのお母さんですね。


日笠
一人で生きるって勇気もいるけど、そこに守られて私たちはこういうことができてると思います。



日本の安心感というのは、組織とか構造とか、組織にちゃんと属してるのがもとになっているというのはすごく感じますよね。


日笠
私達、外れまくってますものね。



いま多くの人にとって大変なのは、その屋台骨が揺らいでいるのが問題ですね。属してる人はどうしていいかわからなくなってしまう。不安になって安易に引き寄せの法則に頼ろうとしたりしています。



■占いは自分でするもの



少し昔は精神世界というのには、教養がプラスオンされていました。それは、そういう世界がこっ恥ずかしいという感覚があったからだと思うんです。それが今はほとんどなくなったように思いますよ。愛されてお金持ちになるにはどうしたらいいか、そういう方法が書いてある本が売れる時代です。禅までが下手すると能力開発のノウハウのように書かれてしまう……。


日笠
そこは本当に皆さん、勘違いされてますよね。もっとちゃんと言ってあげなくちゃいけないって思います。そういうところで迷ってる人には、わたしが気がついてる何かを伝えたいと思うようになりました。

どう占いと関わればいいか。占いって人にしてもらうものではない。人にしてもらわなくてもいいって思ってるんです。占いは、自分でやればいいと私は思ってるの。



まさにそう。それはまずは占いの仕組みを勉強したほうがいい。どういう仕組でそういう結果が出たのかをまず知れば、客観視でききる、ということ。


日笠
そうなんです。自分で学んで、自分でわかって自分で占うことにすればいいって思ってるの。



占い師になりたい人、占いを知りたいという人、占ってもらいたい人に大別されます。

占ってもらいたい人が圧倒的に多くてそれがネットや雑誌のマスマーケットになっていますね。手相の入門書というのは、占いたい人向け。本当は文学でも音楽でも映画でもいいですが、そういうのを見て自分と向き合っていけばいいんです。ただ、占いというのは方法論がはっきりしてるから、勉強すればやりやすくなるツール。それはもう、第一義的にはまったく正しい。

ただ、一方で人に占ってもらうことの楽しさ、あるいは意味っていうのは実はあって、同じことでも誰かがそこにいてくれるというのは全然違うことなんですよ。こちらはほんとによほど力のある占い師じゃないと意味がないんですけど、黙っていてくれるだけでもいいんですよ。そういう空間で自分をブラウズし直すということの大きな意味はものすごくある。そういう意味で対面鑑定のバリューはものすごくあると思っています。


日笠
それはほんとうにそうね。その鑑定結果の解釈をどうやって自分のものとして読みとるかというのは、自分のメッセージを読みとる技術、解釈の仕方だと思うんです、手相でも何でも。解釈の仕方だけをもう少しみんなに伝えられたら、みんなもっと占いを活用できると思います。占い師に上からこうですよって決めつけられて、言われたことに従うのではなくてね。

本でも音楽でもどう解釈して自分のものにしていくかは大切ですよね。自分の人生にどうやって活かしていくのか。ちょっといい方向に持っていくためのちょっとした技術とかはあると思うんですよ。今はそれのほうが大切だと思います。



占いを使う技術ですね。占いリテラシー。それはなかなかむずかしい。


日笠
じつはとても簡単だと思うんですよ。リテラシーというと難しく思うけど。活用法なんです。占星術でもカードでも答えはひとつじゃないじゃないですか。どうにでも解釈できる。星の配置はいくらでもどうとでも読み取れるじゃないですか。だから、自分に都合よく読み取ってもいいんだよ、ということなんです。手相だとこの線はこうですとか、決めつけてかかること自体が間違ってるわけだから。



ユング心理学の基本ですが、サインとシンボルは違うというのがあります。普通の信号の赤信号は道路をわたってはダメというサイン、記号。その記号の意味はできる限りシンプルで限定的に伝えるものである。シンボルというのは、そのシンボル以外ではは説明できないような多様で多層的な意味をはらみ、かつ、人の心を揺り動かすようなもの。たとえば十字架というのは、地図のうえでの教会と読み取ればサインになります。でもクリスチャンからしたら、教会ということだけでは言い尽くせないいろんな意味合いがありますね。

占いが積み上がっている構成要素というのは、基本的にシンボルなので、決めつけや断定はできません。意味は無限に広がっていく。でもそれだけでは日常生活の上で意味をなさない。だから、たとえばこんなふうです、と。相手に出してあげる。でも、意味は無限にある。それがわかっていれば、いろんな解釈の仕方で、自分の世界が広がっていくはず、なんですよね。そこのセンスというか、リテラシーというか。それができれば一番いい。

例えば占星術は7つの星と12の星座とハウスの組み合わせで、わずか数十の単語数しかない言語体系。それだけで政治から今日の恋愛運まで語り尽くす構図です。言葉一個のシンボルがどれだけ曖昧かっていうことですね。そのことさえわかっていれば、「あなたはだめよ」という占い師さんがいかにダメかがわかりますね。


日笠
ああ、面白いーーー!! そういう話しを一晩中したいわ。

どんどん手相は変わりますから曖昧です。手相は運命から外れていくわけですから。そこが好きなんですけど。こうですっという決めつけがない。



運命から外れてるって面白い言い方ですね。


日笠
こうですよ、こうこうこうなりますよ、と言われた瞬間に、それはいやだわ、と思ったら変えていくことができるわけですよね。それはもう運命からはずれることじゃないですか。どんどん変わるんだから、というのを皆さんにこれからは伝えていきたいですね。


(つづく)

ー 他コンテンツ紹介 ー

日笠雅水(ひかさ まさみ) プロフィール

日笠雅水さんのテソーミルーム ほぼ日出張所
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