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上なるモノは下なるモノのごとく、下なるモノは上なるモノのごとく。



「オカルト」とは
そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研File No.42 『宇宙と芸術展』で星曼荼羅見てきました【2】
2016/10/11

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『宇宙と芸術展』で星曼荼羅見てきました【2】
  Juno×鏡リュウジ
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Juno
占星術の考え方に力があるから、こういうふうに伝播していったということですね。その時代の背景とこの考え方の関係性ってどういうところにあったんでしょうか?



仏教に、お経として占星術のテキストが組み込まれてるんですよ。宿曜経という名前で知られていて、著者は文殊菩薩ということになっている。ただし、お経といっても内容はまったく仏教の教義とは関係なく、完全に占星術のハウツーです。

まあ、比較していいかわかりませんが、ウィリアム・リリーの『クリスチャン・アストロロジー』という占星術の教科書がありますが、これもまったくキリスト教とは関係ありません。それと同じように仏教とは関係ないんです。

当時のお坊さんの天文学の一つとして読まれていたんじゃないかと思います。


Juno
なるほど、お経を通じて、当時の天文学である占星術の体系を勉強しようとしていたんですね。



実際、占ってもいたようですね。


Juno
それは真言密教なんですか? 



そうですね。空海が持ち帰ったということですから。

この時代はインドでも西洋でも四角いホロスコープを書いていたんですよ。でもこの平安時代のものは、円形が残っていて面白いですね。今の宿曜占星術は月の位置しかみないんですけど、当時のものをみると七つの惑星が全部入ってるんですよ。


Juno
誰かが意図的に抜いていったんですかね。



かなり簡略化されてしまったわけです。その理由はかんたんで正確な天文暦がなかったからでしょう。日本の天文学の水準だと、他の天体の位置を正確に把握できなかったから、かなりいい加減なものが作られていたんですね。


Juno
江戸時代ぐらいまでいかないとわからなかったんでしょうか。



日本では暦は江戸の後期まで中国のものをコピーして使いまわしていたようで、単純に日付と月の概略の位置を同定して、月の「宿」を出していた。インドはもちろん、高度な数学技術があったからホロスコープ占星術が続いていたわけです。


Juno
陰陽道との関わりはどうなんですか?



実は僕もまったく詳しくないので専門書を見ていただきたいんですが、暦法としては、いっときは陰陽道とライバル関係にあったんですが、もちろん、習合されていると思うんですが、安倍家と加茂家が重用されたことによって、陰陽道のほうが暦法を司るようになったようです。それで宿曜道が衰退していったということなんでしょうかね。

宿曜占星術で重視されている月の「宿」は、同様の概念がインドでもアラビアでも使われていて、キャラがあって人格化されているのが面白いですね。宿曜は当時、護符でもあって、月がどの宿に入っているかで、使う魔術が違ってくる。

ところで、こういう曼荼羅は普通幾何学的なパターンで構成されています。心理学者のユングも曼荼羅に深い関心を示しましたが、それはユングが観察していた患者のイメージに誰に教えられることなくインドやチベットの曼荼羅と似たヴィジョンが現れることがきっかけでした。

とくに心のバランスが回復されるときに円と四角形を基本とした秩序だったイメージが出てくることから、よりひろく「マンダラ」という概念を作ったんですよね。そこには幾何学的に安定して見える図形であることがポイントでした。

でも、日本ではそういう幾何学的な秩序だったというのはちょっと肌にあわなかったようで……。神道曼荼羅だとああいう幾何学模様にならないんですよね。


Juno
物語仕立てですよね。宇宙の成り立ちからスタートして絵で説明していますね。



面白いですよね。西洋の庭園が幾何学的にきちんと仕切られていくことが多いのにたいして、日本の庭園はそういうわかりやすい図形では構成されないというのと似ている気がします。

ユングの本を読んでいても、夢に出てくる庭園はマンダラ夢の一種として分類されますけど、枯山水とかの夢になると、マンダラと考えてよいかどうか……。

これは日本人の夢を考える上で重要なテーマかもしれませんね。ところで、ユングにおいてはマンダラは円と「四角」が基本構造でした。

四角形というのが重要で、ユングにとって4というのが、聖なる数。この世界のトータリティを表す数字で、キリスト教は、三位一体説だから1個足りない。その1個は無意識に抑圧されてしまっている、と。だからユングにとって4はすごく大事な数字で、これからは4の時代になっていく、と。

キリスト教において四番ということは、女性、あるいは物質、あるいは悪魔なんです。


Juno
たくさん出てきちゃいますね。



物質、女性、悪魔。いろいろにみえますけれど、これらは西洋においては一つのカテゴリーとして連想されます。

物質や肉体が性欲の源泉で女性は誘惑者。悪魔的なものだとされてしまう。それらは本来、善でも悪でもないはずなんですが、きちんと意識化されない、見ないふりをするから影として暗くなってしまう。

(つづく)

ー 他コンテンツ紹介 ー

Juno プロフィール

メンズ占い師ユニットnot for sale.のリーダー。占い師を「問題解決者」と位置付け、従来の占い師の枠にとらわれない活動を展開。アニメやファッションイベントとコラボしたアジアでの占いツアーにより、経産省COOL JAPAN政策の支援コンテンツに占いが採択される。Technology×Spiritualityをテーマに、仲間たちと「宇宙ヤバイ研究会」を細々と展開している。最近は、ワインエキスパートや利酒師の資格を取得し、星とお酒のコードを読み解こうと奮闘中…。

http://not-for-sale.jp

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