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「オカルト」とは
そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研File No.50 聖地巡礼【1】
2017/4/13

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聖地巡礼【1】
  井島 健至×鏡リュウジ
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今日は写真家の井島健至さんにいらして頂きました。じつは井島さんとはもうかなり長いお付き合いですよね?

井島
僕が90年代にNYにいたころ、NYでお会いしましたよね?全然アウトドア派ではない鏡さんを友人達と一緒に無理やりキャンプに誘ったりしましたね。


まさかNYに行ったときに人生最初でたぶん最後になるだろうキャンプをするとは思ってなかった(笑)でもいい思い出です。5年前には、僕のイギリスツアーにも同行して写真を撮って頂きました。アイルランドにも足を伸ばしたツアーでしたね。

旅の写真のイメージが強いのですが、聖地の写真をもう何年も撮っていらっしゃるんですよね?いつ頃からなんですか?


井島
きっかけは、NYにいたとき、9.11を目の当たりにしたことですね。民族とか宗教とか考えるうちに、自分自身のルーツを知らないことに愕然として、もっと自分のアイデンティティを掘り下げて、日本に戻って、もっと日本を見たいと思ったんです。ちょうど古事記の研究をしているかたと出会ったこともあったので、そのご縁で聖地を訪ねて写真を撮ることが多くなりました。

一番最初にいったのは、鹿島神宮(鹿嶋市)なんですが、その参道に巨木がたくさん連なっていて感動したのも大きいですね。巨石や巨木に興味を持って、以来、日本各地のそういったものがある、いわゆる「聖地」とされる場所で写真を撮っています。



巨石や巨木を何でも神とした古代の人たちの感覚ですね。

本居宣長でしたか、この世界にあるもので人々の心を畏怖(いふ)させるものや人の気持ちを強く動かすものはカミだという……だとすると、巨石や巨木といったものはすべてカミの顕現ということになる。宗教学者エリアーデのいう「聖なるものの顕現」(ヒエロファニー)となるという感覚。


井島
一緒に行ったイギリスのストーンヘンジもそうですね。




聖地になるのは、もともと巨石や巨木、あるいは泉、山などがあったところが多いのでしょうが、ストーンヘンジはわざわざあそこに石を運んで建てたんですよね。ただ、一説によると、ストーンヘンジは綿密な天文計算の上であの場所を選んで作られた。季節の日の出や日の入り、月の出や月の入りを考えて設計されているといわれています。

西洋においては「岩座(いわくら)」にあたるものといえば、不思議な石の話はたくさんありますね。悪魔が噛んだとか、巨人が投げたとか、魔女が踊っていて石化したとか、そんな民話はたくさんあります。

「御神木」という考えかたとしては、欧米ではクリスマスツリーもそのひとつといえますね。アイルランドではフェアリー・ツリーと呼ばれる大木もありますね。

フェアリー・ツリーの別名はウィッシュ・ツリー(Wish Tree)で、願いを込めて木に赤いリボンを結ぶと、その願いがかなうと言われています。そういえばイギリスのグラストンベリーにもリボンが沢山結ばれた聖なる樹木がありましたよね。


井島
やはり巨大な石や木に人々が魅了されてしまうものなんですね。



今日は、特別にこのオカ研内で、井島さんが巡った日本の聖地を見せて頂きたいと思います。素晴らしい写真ばかりです!

まずこちらは?

井島
沼島(ぬしま)にある、上立神岩(かみたてがみいわ)と呼ばれる岩です。沼島は、もちろん、諸説ありますが、国産み神話で作られた最初の島と考えられています。イザナギノミコトとイザナミノミコトが天上界から降りてきて、天の沼矛(あめのぬぼこ)を使って地上をかき混ぜたときに出来たといわれるオノコロ島ですね。淡路島の南に位置しています。



この写真はちょうど日の出のときです。


すごく神々しい感じがしますね。なんというタイミング!




井島
こちらは、淡路島からみた沼島です。この沼島は、上から見ると勾玉に見えるんですよ。それも、日本で一番最初の島と言われる所以かもしれません。





この上立神岩は、国産み神話の「天の御柱」ともいわれてるんですよ。天と地を結ぶ役目をしてる柱ですね。この岩は実際、30メートルぐらいの高さがあるそうです。




つぎは場所が変わりまして、こちらは、琵琶湖に面している滋賀県の白髭神社の鳥居で、近畿の厳島とも言われているそうです。湖の中には、神の棲む島と言われる竹生島(ちくぶしま)がありますね。



湖の中に鳥居があるなんてすごい光景ですね。


井島
こちらは伊勢の二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)の夫婦岩です。




あ、この光景は覚えがあります! 中学の修学旅行で行ったような記憶が微かにあります。

井島
ちょうど日の出の頃ですね。手前にお宮があります。これと対になっているといわれる夫婦岩が、九州の糸島にあるそうですね。

こちらは伊勢の内宮にかかっている宇治橋ですね。




橋といえば教皇や最高の神祇官を表すpontifex maximusは天と地を結ぶ橋という意味もありました。能舞台にも必ず橋がありますし、幽界と現実を繋いでいますね。占いでは「橋占」といって、橋のたもとで通り過ぎる人々が偶然口にする言葉から神意を読み取る、というものもあったんですよね。


井島
なるほど!世界軸(axis mundi)にも繋がっていくような働きなのですね。
こちらは、その橋がかかっている五十鈴川(いすずがわ)です。本当に清らかな川でした。




穢れがない清らかさ。穢れを嫌うというのは、ひとつの神道の中心に据えられているものですね。神道に教義はないですが、ひとつあるとしたら「祓いたまえ、清めたまえ」。自然の浄化力に任せようとする姿勢がありますよね。地球を管理しようとするヨーロッパ型のエコロジーとは発想が違います。現代は、この両方の接点を探していくべきですね。

それにしても、やっぱり清らかですね。巨石、巨木もそうですが、水があるところも聖地ですね。


井島
自然を神域として敬う姿勢に日本らしさの原点があるのかもしれないですね。
この時は、火と水をテーマにして聖地を巡っていたんです。熊野から伊勢に入りました。

(つづく)

「カミーノ・デ・サンチャゴ/熊野古道・巡礼紀行〜歩くこと。祈ること。新たなる世界軸(axis mundi)を探して〜」予約受付中(開催日2017年4月16日)

『スペイン サンティアゴ巡礼の道 聖地をめざす旅』
森玲子編著 井島健至写真

ー 他コンテンツ紹介 ー

井島健至(いじまたけし) プロフィール

写真家。1974年福岡生まれ。横浜市立大学中退後、渡米。1999〜2002年 NYに在住。写真家・宮本敬文氏に師事。2003年独立。以後各種広告雑誌にて活動。


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