鏡リュウジ公式サイト BETWEEN THE WORLDS

上なるモノは下なるモノのごとく、下なるモノは上なるモノのごとく。



「オカルト」とは
そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研File No.42 聖地巡礼【2】
2017/4/14

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聖地巡礼【2】
  井島 健至×鏡リュウジ
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井島
こちらは、熊野の神倉神社で、毎年2月6日に白装束に荒縄を締めた「上りこ」と呼ばれる男子が御神火を移した松明を持って、神倉山の山頂から急峻な石段を駆け下りる火祭り(お燈祭)をしている場所ですね。






火と水といえば、男性原理と女性原理。火水(かみ)と呼ばせるという説もあるそうですよ。火と水の結婚、対立物の結婚が黄金を生み出すという錬金術の世界ですね。


井島
野生的な聖地に行くと自然のエレメントに神性を見いだしてきた感覚がとてもよくわかりますね。

これは、花の窟神社(熊野)の磐です。




神倉神社のお社部分です。



この付近には、奇岩が多いようで、こちらは、獅子岩と呼ばれています。スフィンクスみたいな岩で、見事に獅子のカタチをしていて、背後の山にある大馬神社の狛犬という位置づけになっているようですね。




こちらは、和歌山県の串本町の橋杭岩です。



これも場所としては、沿岸部の巨石ということで、同じエリアなんです。弁天島にあるお宮を共に空海伝説も残る神仏習合の景観ですね。



日本は、巨岩、巨木、山等があってこその、神社というわけですね。

一方でヨーロッパに目を向けると、たとえばサンチャゴの大聖堂なんかは、後から建造物でそのすごさを出してますね。聖堂は人工的に作った森とも言えるわけで。

井島
ケルト神話との親和性はどうなんですか?



日本とケルトの文化は似ているという人もいますよね。多神教的であるところはもちろんそう。

世界中の神話は、創世神話があるものとないものに分けられます。ケルト神話はもしかしたら創世神話もあったかもしれないけれど、残ってないですね。

日本の神話の世界とケルト神話との類似性を考えてみると、多神教、自然信仰、妖精、ドルイド、森そのものが聖地である点ですね。建物を作らない。鎮守の森、そのものが聖地であるという感覚は日本にもケルトにも通じるものかもしれません。もっとも、それは日本とケルトだけではなく、古い時代には人類に普遍的なものだったかもしれないけれど……。




こちらは那智の滝(なちのたき)です。飛瀧神社(ひろうじんじゃ)は、那智の滝が御神体ですからね。水そのものが御神体です。先ほどの神倉神社の上に向かって立ち上る「火」のイメージに対して重力に沿って落下する「水」のエネルギーをダイレクトに感じました。



ヨーロッパといえば、サンチャゴ・デ・コンポステーラも行かれたんですよね?


井島
はい、去年の2016年5月から、26日間かけて歩いてきました。ほぼ一本道です。1日24,5キロ歩いて40日間かけるのが正当な?やり方ですが、僕は残念ながら撮影ということもあり、途中車移動でスキップしました。

コースはいくつかありまして、バスク地方沿岸部を歩くサンセバスチャンの道、山側の北の道があります。

宿やレストランが充実して起伏がないのがフランス人の道と呼ばれる場所で、
ピレネー山脈のフランス側からスタートするんです。GO WEST、ひたすら西に向かいます。


西の果て。ランズエンドまでをめざすわけですね。宿泊はどういったところがあるんですか?

井島
ぼくは、巡礼者用の8−10ユーロのアルベルゲと呼ばれる巡礼者用の安宿に泊まっていました。ドミトリーで二段ベッドがあるようなところです。キッチンがあるので自炊したりもできます。もちろん、パラドールというお屋敷(元修道院)を改造した豪華なホテルもありますけど。



このような小麦畑の美しい風景がたんたんと続きますね。歩くのには快適な良い時期だったから、人は多かったと思いますね。

実は行ってから知ったのですが、この年がローマ教皇が発した「慈悲による特別の大赦の年」というGiubileo(ジュビレオ)と呼ばれる特別な年だったのです(通常は「11年、6年、5年、6年」の周期で次が2021年と言われていた)全ての罪が許されるとされる「免罪の門(Puerta del Perdon)」が開いている聖年でした。それもあってけっこう賑わっていたのだと思います。


どんな方が多いんですか?

井島
老若男女問わず、ヨーロッパを中心に英国、米国、南米、ですね。アジア人だと、コリアン、フィリピン人のクリスチャンが多いですね。日本人は少なかったです。

トレイルランや、マウンテンバイクでトライしている人もいて、最近はカジュアルにやってる人が多いようですよ。



これが大聖堂ですね!




井島
クレデンシャルという巡礼証明書をもらってサンチャゴ・デ・コンポステーラ大聖堂に行きこの巨大振り香炉(ボタフメイロ)を見てフィニッシュです!




10年間、聖地というひとつのテーマを追っていらしてどのように感じてますか?

井島
「人はなぜ祈るのか?」ということに関心を持っています。ビジョンクエストとか、啓示を受けることってあると思いますが、それを自分で感じとることができるかどうか?作用反作用あると思うのであまりストイックになることはなく淡々と続けてきました。

親を看取った時に、生と死を見つめて、理屈じゃ説明できない世界があると思いました。体感や体験を通して、自分がいつの間にか作っていた、垣根みたいなものを払いたいという思いもありました。

10年間ひとつのテーマを追うことは、振り返ってみると、とてもゆっくりとですが心の奥で絡まった糸が解けていくような感じはしています。

時間が早く流れる今、貴重な体験ですね。この時間を持てるのは、重要なことだと思っています。



条件が揃わないとできないことですからね。僕もじっくり聖地巡礼をしたいですし、せっかくならば星の巡礼にトライしたいですね。でも実際は、つらそうだから、熊野古道ゆっくり三日間コースあたりから行ってみようかな。今日は貴重なお写真をありがとうございました!


「カミーノ・デ・サンチャゴ/熊野古道・巡礼紀行〜歩くこと。祈ること。新たなる世界軸(axis mundi)を探して〜」予約受付中(開催日2017年4月16日)

『スペイン サンティアゴ巡礼の道 聖地をめざす旅』
森玲子編著 井島健至写真


(了)

ー 他コンテンツ紹介 ー

井島健至(いじまたけし) プロフィール

写真家。1974年福岡生まれ。横浜市立大学中退後、渡米。1999〜2002年 NYに在住。写真家・宮本敬文氏に師事。2003年独立。以後各種広告雑誌にて活動。


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