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「オカルト」とは
そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研File No.44 ロバート・ハリスに聞く「カウンター・カルチャーの時代」2
2017/10/13

ロバート・ハリスに聞く「カウンター・カルチャーの時代」1

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ロバート・ハリスに聞く「カウンター・カルチャーの時代」【2】
  ロバート・ハリス×鏡リュウジ
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誕生星座星占いが普及したのはまさにその時代ですからね。これは僕の『占星術の文化誌』(原書房)でも書いたことですが、それまでは自分の誕生星座を知らない人も多かったんです。リンダ・グッドマンが書いた星占いの本がベストセラーになりましたね?1968年のことです。これがいわゆる星占いをアメリカで一気に普及させた。


ロバート・ハリス
そう! でもあの本はちょっと軽かったから、俺たちはもっと深い本を読むよ、というスタンスでしたけどね。


今読むとけっこう深いんです!文章もうまいし。

ロバート・ハリス
そうなんだね、読み直さなくちゃね。


いえいえ、当時、僕でも若い頃読んだらあれって思ったと思う。今になって、ああいうポップな占星術の本の良さを再評価できるようになってきました。

ロバート・ハリス
あと、魔術師アレイスター・クロウリーとか、ロシアの神秘主義的グルのグルジェフとか。グルジェフのはいろんな人の神秘体験とかいっぱい綴っているので、すごく影響を受けましたね。『注目すべき人々との出会い』だったか。そこから僕は旅につながっているんですよ。

あ、あとね、ハーバード大学でLSDの研究をやっていたティモシー・リアリーの同僚だった、リチャード・アルパートは、インドにいって行者になってしまってね、『ビー・ヒア・ナウ』という本が売れました。

僕はそれで、旅に出たんだけど、72年にバリ島に行った時に、ちょうど落ち込んでいた時期だったから、そういう本を読みまくったんですよ。人類学者で、ネイテイブ・アメリカンのシャーマンを調査しているうちに、ミイラ取りがミイラになってしまって、自らシャーマンになったと自称した、あのカスタネダなんかも流行ってました。そういう本を通して、心の旅人だったんですよね。

当時のバリ島は、西洋社会の旅人からしたら未開の地。日本人でバリ島なんてほとんど知らなくて、いたのはヒッピーと旅慣れた旅人だけ。シンガポールあたりで、偶然出会った旅人から、お前ちょっと落ち込んでいるから、インドいくよりもバリ島にいってちょっと休んだほうんがいいよって言われたの。

それでウブドにいったんです。当時は電気も水道もないし、ちょっと一歩踏み込んだヒッピーが行くところだった。サーフィンやって日光浴したい人はクタだけど、ぼくはウブドにいったんです。それで結局1年もいました。

世界中からいろんな旅人が集まってきて、ウブドでも一番有名なチャンデリーズという民宿にとまってました。バリってすごく精神性の強い場所というか、落ち込むときはすごいし、反対にハイになるときもすごいという、すごく磁場の強い場所なんです。それで僕、初めてパワースポットという概念を身をもって感じました。

今みたいにパワースポットという言葉もなかったけれど、この場所は何か違うぞとすごく思ったの。強いぞ、と。それは今でも感じます。だからね、楽園では全然なくて、けっこうたいへんなところなんです。魔物が棲んでいるですよ。それを知らないでいった奴らは、精神的にやられたりするわけで。


それは当時の話ですか?今はずいぶん観光地になってから変わってしまったでしょう?

ロバート・ハリス
今も多いですよ。今もバリに住んでいる友達が多いけれど、彼らはみんな、ここからは1年に4,5回出ないと頭がおかしくなる、と言いますよ。

それでね、70年代に行った時、夜な夜な民宿で、みんなで外でご飯食べるんですよ。野生の夜という感じで虫がもう壁となって闇夜で迫ってくる感じです。蛙の声と犬の遠吠えの世界。古代の人たちが焚き火を囲んで自分の内面を語るようなそういう世界だった。出会ってすぐ、インドに半年いってこのグルに師事していたとか、なんとかでメディテーションを学んだとか、そういうのを夜な夜なみんなで語り合ってね。バリって、ホワイトパワーと、ブラックパワーが入り混じっている世界なんですよ。


善と悪の戦いというモチーフといえば、魔女ランダってバリでしたよね?僕の学生時代に話題になっていたな。

ロバート・ハリス
そうそう、ランダは女神ね。いろんなお祭りや儀式もたくさんある。お祭りではトランスにかかりやすい人が出てきて、そこに、ランダに魔法をかけられて、刀をもって突進するんだけど、バロンが守るから、本当に切れるだけど、血が出ないんですよ。たまに間違って切ってしまう人もいるんだけど、ちゃんとそれを介抱する人もいる。変性意識でこその祭りがまだ生きていたんだね。
トランスにかかりやすい女の子が選ばれて、2人の男の子の肩に担がられて、目をつむったまま、同じ動作の踊りをするんですよ。で、終わると倒れてしまう。聖水をかけられて我にかえるんだけど、何も覚えてないという・・・あとは火の上を歩いたりとかね。そういう儀式やお祭りがたくさんあります。


ハリスさんはそんななかで自分でも、、、なんというか「修行」みたいなことはされたんですか?

ロバート・ハリス
うん。いっとき瞑想もやったね。いろいろ不思議な体験もしたように思います。
僕、今でも思うんですけど、精神的に病んでいる人は自分流で瞑想やったらだめだと思うんですよ。そういう時はちゃんとしたセラピーが必要なんですよ。そういうこともあってね、やっぱり赤道直下のインドネシアはパワーが強すぎるな、と。もう少し、ゆったりしたエネルギーが流れているところはないかな、と思ったら、すぐとなりにオーストラリアという大地があったのね。

それで僕はオーストラリアにいったの。そのとき、面白いことに、クリシュナムルティしか読まなくなった。クルシュナムルテイという人は、インドから子供のうちにイギリスに連れてこられて「世界の救世主」になるべく、英才教育を受けた人なんだけど、自分はメシアじゃない、といって権威を捨てた人。これってすごい話でしょう。そうすると、クリシュナムルティに今度ははまっちゃうんですよ。


本もたくさん書いている人だし。でも、「はまっちゃう」という言い方をされているということは、「俺を信じるな」とグルに言われるほど、このグルはすごいとハマったパターン?

ロバート・ハリス
僕が弟に書いた手紙を今読み返すと、クリシュナムルティなんですよ、自分は。そういう書き方をしている。クリシュナムルティと同一化してしまっている。でもクリシュナムルティは悟っているけど、俺は悟っていないんです。

自分はどんどんクリシュナムルティが否定しているところに行ってしまったわけですよ。皮肉にもクリシュナムルティを介してね。

シドニーでクリシュナムルティの会合にいったら、女の子がふてくされながらタバコを吸っていた。24,5歳の子で。彼女のところにいって、老人がクリシュナムルティの話しててもつまらないよね、って話かけたの。

そしたら彼女は、クリシュナムルティもいいけど、プライマルセラピーっていういいセラピーがあるのよ。わたしやったけどすごいよかったよって。

それで僕は探して、プライマルセラピーをやっているカップルのところにいったら面白くて、色々話したら、彼らのお父さんは、クリシュナムルティの会の会長さんをやっていた人で、クリシュナムルティがオーストラリアに来た時の楽屋話を聞いてしまって、等身大のクリシュナムルティに出会ったかんじ。過度な理想は崩れたけど。で、アーサー・ヤノフが提唱したプライマル・セラピーを体験した。途中いろいろあるんだけど、それによって抑圧されていた感情が一気に開放されて楽になった、という体験をしたんですよ。

で、この話がどうオカルトに繋がるかってことなんだけど(笑)

(つづく)

ロバート・ハリスに聞く「カウンター・カルチャーの時代」3

ロバート・ハリスに聞く「カウンター・カルチャーの時代」4

ー 他コンテンツ紹介 ー

ロバート・ハリス プロフィール

横浜生まれ。高校時代から国内をヒッチハイクでまわり、卒業後は北欧からインドまで半年間の旅をする。上智大学卒業後、東南アジアを放浪。バリ島に一年滞在後、オーストラリアにわたり延べ16年滞在。シドニーで書店&画廊『Exiles』を経営。ポエトリー・リーディング、演劇、コンサート等を主催、文化人のサロンとなり話題に。映画やテレビの製作スタッフとしても活躍後、日本に帰国。1992年よりJ-WAVEのナビゲーターに。1997年に刊行された初の著書『エグザイルス(放浪者たち)ーすべての旅は自分へとつながっている』(講談社)は、若者のバイブルと謳われ長く読み継がれている。『ワイルドサイドを歩け』『人生の100のリスト』(いずれも講談社)、『エグザイルス・ギャング』(幻冬舎アウトロー文庫)、『英語なんてこれだけ聴けてこれだけ言えれば世界はどこでも旅できる』(東京書籍)、『アフォリズム』(NORTH VILLAGE)、『アウトサイダーの幸福論』(集英社)など著書多数

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