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「鏡の視点」とは
鏡リュウジが何を感じ、何を思考しているか。気楽なものからレクチャー的要素もからめた雑文コーナー。海外のアカデミズムの世界で占星術を扱う論文などの紹介も積極的にしていく予定です。

英国の占星術家マギー・ハイド氏の寄稿文「自由意志の占星術」2
2012/7/31


未来に何が起ころうとも、未来についてどんなシンボルを見ようとも、その未来が実現する形態や方法は無限にあるのです。決まった、限定された可能性で自分たちを束縛すると、シンボリズムという「ゲーム」への参加方法を誤っていることになります。

カードや真理計と同じように、自分たちにシンボルを見せてはいますが、行動というものを忘れてしまっています。行動を起こすため、何かをするためにシンボルを見ているのだと上に書きましたが、占星術的なシンボルと出会っても、その天体運動の確実性と自分たちの宿命の展開をイコールさせてしまうなら、行動にも意味がありません。

結局「受動的な」状態を優先させて、あらゆる行動の可能性を失ってしまうことになるのです。そのような枠の中に自らを置き、自ら運命を逃れられないものとしてしまっています。ここに占いに対する能動的な取り組みと受動的な取り組みの重要な違いがあります。

例えば、占星術者が土星のトランジットを見たとします。トランジットしているのは木星や金星ではなく土星であり、その時点におけるある特定の出生図の上での、確実におこるトランジットであるということも分かっているとします。さらに、土星なので、大変な困難や死、災害、死神の到来などを表わすシンボルとまでいわなくても、やはり土星の性質上、自分が難しい仕事や重い責任を果たし、ストラクチャーをきちんと整えなければならないような辛い次期になるということも分かっています。

高名な指導的占星術家マーガレット・ホーンならこのように表現したのかもしれません「土星のトランジットでは、私はどうしても土星に関連したような傾向や機会に巡り合う宿命があります」

多くの占星術者は、少なくても愉快で楽天的な時期がくるわけではないということで同意するでしょう。土星はあくまでも土星であって、木星ではないのです。とはいえ、土星にはそれ固有の、あらかじめ決まった意味があるとすれば、私には自由意志がないということになるのでしょうか?

もしもそうだった場合、次のステップは必然的に、超越的な意味に満ちた現実が私たちの心と関係なく外部に客観的に存在することになり、土星のトランジットが木星のトランジットと客観的に異なることを信じるということになります。

しかし、この議論で忘れられている大切なことがあります。つまり、シンボルは現実世界にあるテーブルや椅子などの知覚できる物体と同じではないこと、そして、私たちは人間界の生死にまつわる全ての事象を含む、占星術の大規模ゲームに参与している術者として、枠全体を作り上げた責任があるということです。

占星術というゲームの隠喩は人生そのものと同じで、いいことやわるいこと、ときに醜さまでも含んでいます。占星術ゲームに参与してチャートを読むとき、このゲームを始めたのは私たち自身であること、そしてわざわざこのゲームと占いをしている理由を思い出す必要があります。

つまり、私たちは、何かを理解するために、そして自分自身の人生に対してアクションを起こすためにこそ、シンボルと向き合っているということを。

ということであれば、なぜわざわざ土星のようなつらく、いきづまりを表わすようなシンボルを使うのか、疑問に思われるかもしれません。それはただ、現在の理解能力に合っているからです。完全に受動的な態度を取るなら、土星や他のシンボルを見る意味はありません。

『ライラの冒険』三部作の終わりに、作者のフィリップ・プルマンは占いの本質についてきわめて重要な指摘をしています。ライラは恐ろしいことに、もう真理計を読み取ることができないことを発見します。

「みじめな狼狽が徐々にライラの中で広がっていった……自分が安心と自信を持って降りていった見えない『意味のはしご』は、全く無くなっていたのだ。数々のシンボルが何を意味するのか、ただ分からなかった」

ライラはその必要があるときにだけ占いが働くことに気づくのです。「私がしなくちゃいけないいろいろなことのため、本当に必要な時にだけ、きていたんだわ」(『琥珀の望遠鏡』)。

オックスフォードという安全な生活環境では、ライラが真理計を利用する必要は無かったのです。特別な恩恵により与えられたその能力は失われたのではなく、いつか再び別な方法でライラを助けることがあるかもしれません。でも時機がきたときだけです。

恐らく、受動的な態度でいることが、占いが生きてこない大きな原因でしょう。今後の宿命が示されていることを受け入れ、受動的な立場で臨む瞬間、あなたはその場で自分を運命付けてしまったことになります。

占星術の占いが「カターキー的」なもの、つまり自ら率先して行動を起こすためのものとなるでしょう。「運命は交渉次第」であるということを認めれば、時間に束縛されたものという占星術の誤った印象を打ち壊す方法を探究していけることになります。

『ライラの冒険』二作目の『神秘の短剣』のように、現実を切り開くことができます。アラン・レオの神智学とディーン・ルディアのヒューマニステイック占星術の原動力がここにあります。自分が何をしているか明確に理解することで、実世界で実存する能動的で啓かれた占いの占星術を実践することになるのです。

(了)


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