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そもそも「隠されたもの」という意味のラテン語。本コーナーでは、鏡リュウジが気になる「オカルト」的なことをお題に選んで掘り下げていきます。

オカ研File No.48 伝統占星術と現代占星術 2
2019/5/24

伝統占星術と現代占星術 1

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伝統占星術と現代占星術【2】
  田中要一郎×鏡リュウジ
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ところで『現代占星術家のための伝統占星術入門』の本を翻訳することに至って経緯等、教えてください。

田中
鏡さんがイギリスの学会で講演をされるとき、一緒に行こうと声をかけて頂いたのがそもそもの始まりです。2016年ですね。それが初めてのイギリスで、初めての学会でした。そのとき、ダイクスさんやグレアム・トービンさんら、伝統派の占星術家たちが談笑していたんです。そこに僕がサインをしてもらおうと思って、『クリスチャン・アストロロジー』を翻訳したんですって自己紹介したら、そこにいたウエイド・ケイヴスという若手だけれど最近頭角をあらわしている伝統派の占星術家が、軽いノリで、「ベンの本も翻訳してあげてよ〜」って言ってくれたんですよ。それでダイクスさんに「許可いただけたら、翻訳したいです。」と言ったら、「じゃあ、ぜひ」と(笑)
そこでメールアドレスを交換したのがきっかけです。それで出版社に話をしたらOKでした。

伝統占星術を勉強しようと思って、まず『クリスチャン・アストロロジー』を読んで、「伝統占星術はすごく難しい」という印象をもっていた方が、『伝統占星術入門』を読んでみたら全然そんなことなかったという感想を頂いています。こんなに読みやすいの!って敷居が下がったようです。


伝統占星術は惑星の強さというかコンディションを、どの星が事項を象徴しているかを見極めて、その星がいい状態にあるか、悪い状態にあるか、というのを見極めてジャッジするということをやっていて、それで結果がクリアに出るというものですね。

一方、現代占星術はホロスコープの全体を見るんです。チャートの全体のバランスを総合的に判断していくというものなのです。そこが発想の大きな違いです。

たとえば結婚運をみるとすると、チャート全体を見てこの人にとって人間関係とはどういうものか、結婚問題を考えるこの人はどんな人なんだろうか、というのを考えます。

伝統占星術だと、この人にとって結婚運を見るにはこの星が重要だ、といって、この星がいい状態か悪い状態かジャッジする。悪かったからこの結婚は終わりだとなるし、でもこうしたら良くなる、ということをやる、いわば要素還元型です。

現代占星術家でスキルがある人は自然とカウンセラーになっていくんですね。ほんとにこの人は結婚問題を考えているのだろうか、それは第一義の問いであって根本的なことは違う問題かもしれません、となって、結婚をきっかけに話がいろいろと進んでいくんです。それが心理学的ということですね。

田中
伝統だとこの時期いいですよ、こういうことが起こりやすいですよ、というふうに具体的に占っていきますからね。

鑑定の現場では、お客さんのニーズもいろいろありますからね、性格を知りたいんじゃなくて、どうなるかを知りたいんですっていう人もいます。とくに結婚いつですか、というのは圧倒的に多い。そういうのに伝統占星術はマッチしているといえます。


現代占星術では、例えば転職の占いをするとしたら、どういう転職になるのか、というのをみます。その人にとって転職は本質的にはどういう問題を秘めているか、ですね。でもそんなふうに鑑定をやっている人は少ないと思いますが……。

田中
伝統占星術では、簡単に言うと、テーマに関するハウス、惑星、そのハウスロード、アスペクトなどの状態を見ていきます。ハウスについては現代占星術と違う意味がいくつかありますね。


面白いのは12ハウスって伝統的には良くないけれど、ミシェル・ゴークランの研究が示しているように実際には、12ハウスの天体ってよく効いていることが多い気がしません?

12ハウスに火星があるとスポーツ選手が多かったりするんです。これは統計的にちゃんと出ているんですよ。伝統占星術でも現代占星術でも12ハウスはよくないハウスなんですよね、幽閉されるとかそういう意味があって。でも実際には12ハウスに惑星がある人は、その惑星が顕著に働く。

田中
オバマも1ハウスのルーラーが12ハウスにあるんです。


大統領は、ライジング・サンの人が多い。

田中
地平線から登ってきたばかりのところですからね。いい意味があってもおかしくないですよね。私もリーディングする時はケースバイケースですが、良い意味で取る時はあります。


占星術は、けっこうね、矛盾があるんですよ。アスペクトとかも、トラインは木星とかいうけど、こっちから数えたら違うとか、ね。冷静に考えたら矛盾だらけなんだけど、そこをあえて鵜呑みにしてやってみる、ということですね。

田中
僕の伝統占星術の研究はまだまだこれからだと思っているので、勉強していて楽しいですね。英語の本も文語体で書かれているから読みにくいんですが。日本では一部の熱心な研究者はいるんですが、全体的にやっている方がまだ少ないですね。


最近、急速にわかりやすい本が英語で出始めたところですよね。

田中
はい、そうですね。今までもあるにはありましたが、最近良書が多く出ています。特にベンジャミン・ダイクス以外ですと、クリス・ブレナンの「ヘレニズム・アストロロジー」と、デメトラ・ジョージの「エンシェント・アストロロジー」ですね。現代占星術から入って古典にきた人たちですね。


デメトラ・ジョージさんは、バリバリのフェミニストで小惑星占星術とかやっていた人ですね。

田中
デメトラ・ジョージさんの授業をうけたときは、びっくりしました。小惑星占星術のイメージが強かったので。あれだけ古典の深いリサーチをしているとは思いませんでした。


デメトラさんには何度かお会いしています。とても素敵な方ですよね。あの本、序文を読んで感動しました。もともとギリシャの家系なんですよね。幼い頃はギリシャ語を少し話されたようだけれど、アメリカで育ってギリシャを忘れてしまった…ある意味で彼女の本格的な占星術研究は自分のルーツの再発見の旅でもあったわけなんです。

田中
はい、ギリシャ語も勉強されているみたいですね。ヘレニズム期の伝統占星術は、ギリシャというか、アレキサンドリアでエジプトですが、言語はギリシャ語です。英語圏の人がいま、伝統を掘り起こしている感じですかね。ギリシャ語、アラビア語、ラテン語などの幅広い文献からですね。


それが始まったのが1980年代なかば頃からなんです。ぼくはその現場に居合わせたので、面白かったですね。

田中
当時、けんかしていたんじゃないですか?


ものすごいけんかでしたよ(笑)

田中
それは、現代占星術と伝統占星術がけんかしていたんですか?


そうですね。でも、すぐに伝統と伝統がけんかというか互いにかなり批判していました(笑)

田中
ですよねー(笑)


分派してました。まあ、現代占星術家同士も派閥はわったわけですが。まあ、一つは自分の「コース」「スクール」を作るようになったことがあります。ある先生のコースをうけた人が自分のコースをやるようになって、私のコースを盗まれたーーなんて騒ぎがよくあった。
もっとも今は成熟してきて表立った応酬はあまりないですよ。

今の「英国占星術協会」はモダンと伝統の区別なく集まってレクチャーする場になってますね。

田中
日本はまだそこまでいっていない感じがしますね。あれは違うとか、間違っているとか言っている人が多いような気がします。ぼくはそれを見てると嫌になってきますが…温厚派なので(笑)


温厚派、いいですね! 

(つづく)

伝統占星術と現代占星術 3

ー 他コンテンツ紹介 ー

田中要一郎(たなか よういちろう) プロフィール

1974年和歌山県生まれ。早稲田大学卒。占術研究家、翻訳家、芸人。西洋伝統占星術、子平、インド占星術、風水、易、タロットなど洋の東西を問わず占術を研究する。訳書に「子平推命基礎大全」梁湘潤 著「クリスチャン・アストロロジー第3書」ウィリアム・リリー 著(いずれも太玄社刊) がある。

http://uranaigeinin.com/

『現代占星術家のための伝統占星術入門』(ベンジャミン・ダイクス著 田中要一郎訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4906724442/

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